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三章

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女王様がなぜ、甘酒味の化粧水を求めるのかは聞かないことにしよう。

なんだか、まともな理由じゃない気がするし。聞かない方がいいような気がする。

でも、女王様に売るんだったら献上するという名目にした方がいいかな。マリアがお世話になっているし。

最初からオークションに出品するのではなくて、女王様に献上という形をとればよかったなと少し後悔した。

だが、いったい誰が甘酒味の化粧水を女王様が欲しがると予想しただろうか。

「にゃー」としか言えなくなる化粧水を女王様が欲しがるだなんて思っても見なかった。

使い道がないから不要だとお断りされるかと思っていたのに。

「献上しますと女王様に伝えていただけますか?」

『りょうかぁ~い。伝えておくわねぇ~。10本ともぉ~献上ってことでぇ~いいわよねぇ~?』

「はい。お願いします。」

マリアもお世話になっているし、裕太や優花さんのことでも結局は女王様が方を付けてくれたし。

女王様にはお世話になりっぱなしなような気がするので今回は全部献上することにした。

『うふふぅ~。あの化粧水ねぇ~有用なぁ~使い道がぁ~あったのよぉ~。女王様にぃ~説明されるまでぇ~気付かなかったんだけどねぇ~。』

んんん!?

有用な使い道があったの!?

あの化粧水に!?

だから女王様が欲しがったのか。

あ、でも、この後は聞かない方がいいような気がする。

だって女王様が考え付く使用方法はろくでもないような気が・・・。

「そうですか。でも・・・。」

『うふふふふ~。まさかぁ~、敵国へのぉ~スパイ活動を~おこなっている部隊にぃ~化粧水を~持たせるだなんてぇ~思わないですよねぇ~。流石はぁ~女王様ですぅ~。』

「へ?」

教えてくれなくていいと言おうとしたんだけれども、その前にベアトリクスさんは化粧水の使用法について教えてくれた。

でも、敵国へのスパイに化粧水を持たせるってどういうこと!?

化粧水飲んじゃったら「にゃー」としか言えなくなってしまうんだから、むしろマイナス要因でしかないような気がする。

はっ。もしかして、敵国の人にこっそり飲ませるのか?

いや、でも・・・それもあまり意味が無いような気が・・・。あ、でも王様に飲ませてしまえば国が混乱する・・・とか?

『しかもぉ~、この化粧水のぉ~効果はぁ~半永久的なんですよぉ~。マユさんがぁ~人間のぉ~言葉を~話せるようにぃ~なる化粧水を~作成してぇ~飲ませない限りはぁ~ずっとぉ~「にゃー」としかぁ~言えなくぅ~なりますぅ~。女王様はぁ~この点にもぉ~目を~つけたみたいですよぉ~。』

「はあ・・・?」

半永久的な効果とは・・・。女神様の気まぐれ効果、恐れ入ります。

『もうぅ~!マユさんってばぁ~物分りがぁ~悪いんだから~。』

いまいち化粧水の用途が思い浮かばない私にベアトリクスさんは焦れたように告げる。

『スパイ活動を~する人がぁ~敵国のぉ~人にぃ~見つかったらぁ~どうなるかぁ~わかりますかぁ~?』

「えっと。敵国に掴まりますよね。」

『そうですぅ~。掴まったらぁ~どうなりますかぁ~?』

「・・・国に強制的に返されるですか?」

掴まったスパイがどうなるかだなんて考えたこともなかったんだけど。

例えば日本で不法入国者が見つかれば国に強制送還されるから、それと一緒だろうか。

『違いますぅ~。徹底的にぃ~尋問を~されますぅ~。尋問というかぁ~拷問ですかねぇ~?つまりぃ~、拷問された時にぃ~「にゃー」しかぁ~喋れなかったらぁ~情報がぁ~漏れることもぉ~ないでしょう~?そういうことですぅ~。』

「え?でも、そうしたらスパイの方はずっと拷問され続けませんか?解放されませんよね?」

『拷問されてぇ~情報を~喋ったとしてもぉ~待つのはぁ~死のみなんですぅ~。掴まってぇ~しまった時点でぇ~スパイにはぁ~死しかぁ~待っていません~。だからぁ~、スパイのぉ~方もぉ~自国のぉ~情報を~漏らさないためにもぉ~「にゃー」としかぁ~言えなくなるぅ~化粧水はぁ~安心材料なんですよぉ~。』

う~ん。いまいちベアトリクスさんの言っていることが理解できないぞ。

つまり、国としては敵国に掴まったスパイは見捨てるってことなのだろうか。助けたりはしないのだろうか。

それって、ちょっと酷だ・・・。

ここに来て初めて、レコンティーニ王国の闇を見てしまったような気がする。

やっぱり化粧水の使用方法は聞かなければよかったと後悔した。

 

 

 

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