婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

三章

３ー５９

『パクチー味のぉ～化粧水のぉ～効果はぁ～飲むとぉ～誰からもぉ～見えなくなりますぅ～。』

「ん？誰からも見えなくなるってどういうこと？」

もしかして、よく聞く透明人間になれるってやつ？もし、そうだとするとマリアを迎えに行くのに役立つ効果かもしれない。

『身体がぁ～透明にぃ～なっちゃうんですぅ～。』

「透明人間だっ！！」

すごいっ！そんな化粧水ができたなんて！ちょっとだけ憧れてたんだよね。透明人間。誰にも気づかれないってちょっと面白そうだし。

『でもぉ～気を付けなきゃいけないのはぁ～洋服はぁ～透明にはぁ～なりません～。つまりぃ～身体がぁ～透明にぃ～なっててもぉ～洋服着たらぁ～、洋服はぁ～見えてしまいますぅ～。』

「・・・ぉぃ。」

とっても使える効果の化粧水だと思ったんだけれども、洋服を着てたらダメって・・・人前で裸になれってこと？
透明になっている間は裸で過ごさなきゃいけないってこと！？
そんな・・・そんな・・・

「そんな、そんな破廉恥な効果は嫌だぁああああああ～～～！！！！！」

他の人には透明に見えているからって、裸で堂々と歩ける訳がない。無理。そんなの、無理。絶対、無理。

『そうですよねぇ～。中途半端ですよねぇ～。この効果って～。じゃあ～、オークションにぃ。出しちゃいますかぁ～？でもぉ～これってぇ～人前でぇ～裸になることにぃ～抵抗がぁ～ない人にぃ～渡っちゃったらぁ～大変ですよねぇ～。』

「はっ！！」

そうか。そう言えば、確かに世の中には人に裸を見られてもいいって人がいるらしい。
うぅ。そんな人にこの化粧水が渡ってしまうのも嫌だなぁ～。
お蔵入りかなぁ、この化粧水。この前作った乳液と一緒でお蔵入りだよ。うん。
まあ、パクチー味なんて私は絶対飲まないけど。っていうか、飲める人はいるのだろうか。

「オークションには出しません！そんな誰が落札するかわからないところに出すの怖いです。」

『だよねぇ～。安心しましたぁ～。他にはぁ～鑑定をするぅ～ものはぁ～ありませんかぁ～？』

「うん。今のところはないかな。」

『わかりましたぁ～。オークションにぃ～出す化粧水はぁ～ありますかぁ～？』

そう問われて一瞬迷う。コーラ味と甘酒味の化粧水は売ってしまってもいいかな。
猫耳が生える化粧水と猫語しかしゃべれなくなる化粧水だし。使用用途が思い付かないし、オークションに出品して誰かが落札したとしても誰も困らないだろう。うん。
それにご近所さんに配るにしても効果が微妙だしね。

「コーラ味と甘酒味をオークションに出します。」

『わかりましたぁ～。じゃあ～お預かりしますねぇ～。オークションにはぁ～参加されますかぁ～？』

そうだった。オークションに出品するとオークション会場に行けるんだった。でも、今回はマリアを迎えにいくし、別にいいかな。

「今回は参加しないことにするわ。」

『わかりましたぁ～。でわぁ～落札金額がぁ～確定したらぁ～連絡しますねぇ～。』

ベアトリクスさんはそう言ってプツッと念話が切れた。
それにしても、マリアを迎えにいくのに役に立つような化粧水ができないかってことで今回がっつり化粧水を作ったけど、まさかあまり役に立つ効果の化粧水がなかったことにがっかりする。
でも、がっかりしてもいられない。ご近所さんに化粧水を持ってしばらく留守にすると挨拶回りをしなければならないんだから。
「よいしょ」と立ち上がり、先程鑑定してもらった化粧水を手に取る。
グレープ味の化粧水を９本持って、家をでる。

『すみません～～！甘酒味のぉ～化粧水はぁ～オークションNGにぃ～なってしまいましたぁ～。その代わりぃ～言い値でぇ～買ってくださるそうですぅ～。女王様ってばぁ～何を考えてぇ～いるんですかねぇ～。」

「えっ？女王様！？」

家を出た瞬間に先程まで念話していたベアトリクスさんからまたもや念話があった。