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三章

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グラグラと揺れる家の中で、必死に近くの壁に掴まりなんとか揺れをやり過ごす。

プーちゃんは浮いているからなんともないようだけれども、マーニャとクーニャとボーニャはベッドの窓枠にへばり付いてなんとかやり過ごしたようだ。

キッチンの方からガシャンッという何かが落ちる音がしたが、今はそれどころではない。

一体何が起こったのだろうかとマーニャたちと目配せする。

すると、ベッドの上に鎮座していた卵までもが左右に揺れていることに気がついた。

そして、その揺れと家の揺れ方が全く同じだということにも気がついた。

『うるさぁあああああああ~~~~~~いっ!!!!!』

ピカッ。

ズッドーンッッッ!!!

『『『ふげっ・・・。』』』

突如空が光ったかと思うと、稲妻が畑に落ちた。

畑というよりも、畑で喧嘩をしているブーちゃんとスーちゃんとグリードの上に容赦なく落ちた。

3人とも無事かなぁ・・・。

『せっかく、気持ちよく寝ておったのに騒がしいのじゃ。まったく。妾の邪魔をするとは許せぬ奴等じゃ。』

急にどこからともなく声が聞こえてきた。

辺りを見回すが変わったものはない。

一体どこから聞こえてきたのだろうか。

皆でキョロキョロと辺りを見回す。

『妾はもう一眠りするゆえ、今度は起こすでないぞ。』

「・・・ん?」

なんとなくだが、声がベッドから聞こえてくるような気がする。

皆もそう思ったのか、ベッドに視線が集中する。

ベッドの上にあるのは金色の卵のみだ。

・・・ん?・・・卵?

先ほどよりも卵のヒビが大きくなっているような気がする。

もしかして、この精霊の卵がしゃべったのだろうか。

『そのように皆で見つめられたら眠れぬのじゃ!こっちを見るでないっ!』

卵が大きくバウンドしたかと思うと、やはり卵から声が聞こえてきた。

この声の持ち主はどうやら卵だったようだ。

・・・孵化してないのに、声が聞こえるってどういうことだろうか・・・。

『見るなといっておろうにっ!』

思わずじっと卵を見つめてしまったら、さらに怒られた。

いや、だって卵がしゃべったらびっくりして誰だって見ちゃうじゃん。

「す、すみません。」

一応謝って視線を卵から外し、窓の外を眺める。

外は快晴だった。

先ほどの嵐が嘘のようだ。

ただ、畑には真っ黒に焦げた物体が3つ転がっていた。

ここから見る限りは変わったところはそれだけだ。

ひまわりやトマトなどの畑の作物にはいっさい被害がないように見受けられる。

プーちゃんの涙すごいなぁ~。と現実逃避をしつつ、外に出る。

その後をプーちゃんが着いてきて、そのままトマトに向かって飛んでいった。

どうやら無事かどうかを確かめるようだ。

無事だと思うけどね。

私は、プーちゃんと別れて黒焦げの物体に向かって足を進める。

ちょうど3つあるし、ブーちゃんんとスーちゃんとグリードだと思うんだよなぁ。この物体。

ちなみに誰が誰だかわからないくらいに真っ黒になっている。

こんなに真っ黒で、果たして生きているのだろうか。

心配になりながら3つのうちの1つを手で優しく持ち上げ、心臓の音を確認するために胸だと思われるところに耳を当てる。

心臓が血液を送り出すドクッドクッとした音はいつまで経っても聞こえてこなかった。

それどころか、首筋と思われるところに手を当ててみても脈を感じない。

「心臓止まってるっ!?」

あわてて他の2つも確認するが同じように心臓の鼓動も聞こえなければ脈も感じなかった。

 

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