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三章

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「どうして?」

ヌメリン草を採取することを反対するプーちゃん。どうして、そんなに必死なのだろうか。

『ヌメリン草を繁殖させるためには、採取してはならぬ!』

「繁殖・・・。」

まあ、確かに見るからにヌメリン草はこの場所に一株しかない。

周りを見渡しても、他にヌメリン草がなさそうだ。

薬草をこの森から採取して、栽培しようとしても出来ないようにヌメリン草も栽培することができないのだろうか。

まあ、栽培できたらレア度高くないよね、きっと。

『ヌメリン草はレア度が高いからと採取する人が後を立たぬ。よって絶滅が危惧されておる。ゆえに採取してはならぬ。』

うわぁ。絶滅危惧種かぁ。

それは採取してはいけないよねぇ。大事にしないと。

って、プーちゃんなのになんでそんなに詳しいんだろう。

ま、いっか。

ヌメリン草・・・欲しかったなぁ。乳液作りたかった。

でも、ヌメリン草が絶滅危惧種であるならば、この世界には乳液がないのだろうか。

「ねえ、プーちゃん。ヌメリン草から乳液が作れるみたいなんだけど、この世界には乳液ってないの?」

『興味がないことは知らぬ。』

「・・・。」

胸を張ったプーちゃんにそう言われてしまった。

どうやらヌメリン草については興味があるからいろいろと知っているようだ。ただ、ヌメリン草から作られる乳液については興味が全くもこれっぽっちもないから知らないという。

プーちゃんってば、知識に偏りがあるなぁ。

「あー、ちなみに絶滅危惧種を採取したらお咎めとかあるのかしら?」

『人間の世のことなど我は知らぬ。』

どうやら人間内でのルール決めとうについてもプーちゃんは興味がないから知らないようである。

もし、人間内で絶滅危惧種を採取してはダメという決まりがないとするならば、このヌメリン草は誰かに採取されそうだ。

それだと困る。乳液ができるくらいには繁殖してくれないと。

まあ、いっぱい繁殖したらレア度が下がってしまうかもしれないけど。

絶滅するよりはいい。

ヌメリン草の葉を撫でながら「元気に育っていっぱい繁殖してね。いっぱい繁殖するまでは誰にも採取されませんように。」と声をかける。

瞬間、ヌメリン草がキラッと光ったような気がして目を擦る。

だが、そこにはなんの変哲もないヌメリン草があるだけだった。

さっきの光はなんだったんだろう。

念のため、プーちゃんにも聞いてみたが光らなかったとだけ教えてくれた。

どうやら私の目の錯覚だったらしい。

いつかヌメリン草が繁殖したら乳液を作ろうと決心した。

遠い未来のことにはなりそうだが。

ヌメリン草は採取せずに、化粧水の元になる山の湧き水を採取しに行く。

もう薬草は結構な量が採取できたからよしとする。

山の湧き水っていつみてもキラキラと光っていて綺麗なんだよね。

これにも魔力が含まれているのかな。

そうだ。ヌメリン草にこの山の湧き水をかけてあげたらどうだろうか。成長スピードが速くなったりして。

そう思って少し多めに山の湧き水を採取した。

「そろそろ帰ろうか、プーちゃん。」

『わかったのだ。』

プーちゃんに声をかけて下山する。

その下山途中に、ヌメリン草に山の湧き水をかけようかとヌメリン草があった地点で立ち止まる。

というか立ち止まるを得なかった。

『おおっ!!』

「ええっ!嘘でしょ!!」

 

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