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三章

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炬燵~。炬燵~待ちに待った炬燵~♪

おっといけない。

ユキさんが見ているというのに、思わず小躍りしてしまった。

でも、マーニャたちがどんな反応をするかと思うと、顔がにやけてしまうのが止められない。

「マユさんってば嬉しそうね。私も嬉しくなってしまうわ。」

「はっ。すみません。にやけてしまって・・・。」

「うふふ。早く帰って炬燵を確かめてみたらどうかしら?」

「はい。そうさせていただきます。では、お邪魔しました。」

ユキさんに挨拶をして村長さんの家を出ると一目散に家に向かった。

途中スキップしてしまったのはどうか秘密にしていただきたい。

 

 

 

「ただいま~♪・・・あれ?」

ガチャリと家のドアを開けると、玄関にマーニャたちが勢ぞろいしていた。

プーちゃんも玄関にいるので、お陰で家の中が見えない。

炬燵は・・・?

「どうしたの?みんな?」

『邪魔なのー。』

『急に家の中にへんなのが現れたのー。』

『居場所がないのー。』

『いきなりドデンッと大きなテーブルが現れたのだ。お陰で家の中に居場所がない。』

「・・・へ?」

一旦家から出て、マーニャたちに外にでてもらう。

その上でもう一度家の中を覗き込む。

「あっ・・・。」

玄関入ってすぐにドデンッと大きな大きな炬燵が置かれていた。

そう。身動きが取れないほど大きな炬燵が置かれていた。

よくよく考えればうちって1DKだったんだよねぇ。しかもダイニングは3畳くらい。

部屋はベッドだけでいっぱいになっちゃうからダイニングに炬燵が置かれたんだろうけど、炬燵のサイズが大きいから歩くスペースも座るスペースもない。

もともとダイニングにあったテーブルと椅子は炬燵の上に乗っかっている状態だ。

うきうきして帰ってきたのに、流石にこの事態は想定していなかった。

一人用の炬燵が来るイメージをしていたのだが・・・。

「ん?」

炬燵の端に何か紙切れがついている。

私はそれを手に取ってみた。どうやら字が書かれている。

『マユさん。この間は素敵な竜の鱗をありがとうございます。

炬燵ができたのでお届けいたします。

マーニャ、クーニャ、ボーニャにプーちゃん、それに精霊5体が住んでいると伺ったので皆で使える大きな炬燵を用意しました。

どうか、皆で使ってください。

マコト』

読んでみたらマコトさんからの手紙だった。

どうやらマコトさんが気をきかせてくれて、皆で使えるくらい大きな炬燵を用意してくれたらしい。

って、精霊まだ1体しかいないけどね。5体って情報どこから知ったんだろう。

念願の炬燵を使用するには、まずは家を増築して広げないといけないようです。

それに、炬燵布団も用意しないといけないようです。

こうして私は泣く泣く炬燵を分解して、部屋の隅に立てかけるのだった。

ちなみに、日本の炬燵と同じように、足を取り外すことができた。

炬燵を片付け終わったらもうすでに夕方になっていた。

今日予定していた大工さんのところには行くことが出来なかったのである。

ちなみになぜか、マリアも来なかった。

マリア、どうしたんだろう。

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