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三章

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「あら?たしか、真由さんでしたっけ?裕太に捨てられた哀れな人ですよね。」

優花さんは私たちに気がつくと嫌味なほどの笑顔で挨拶してきた。
私たちには素性がばれてるから取り繕う気もないのだろうか。
というか、裕太もよく優花さんと付き合おうと思ったよなぁ。こんな性格をしてるとわかったら、私だったら無理なんだけど。
やっぱり、顔か?
それとも、スタイルなのか?

「貴女が裕太の子供を妊娠をしたなんて嘘をついたからね。で?そこまでして取った男は放置なの?」

先程からプーちゃんに背負われた裕太のことを見ようともしない優花さん。
嘘までついて婚約破棄させたのに、それってちょっと酷いんじゃないかと思ってしまう。

「甲斐性なしじゃねぇ。私には不要よ。」

「あ、そう。」

『人間とは欲深い生き物だな。』

ピーちゃんが私の髪の中に隠れてしゃべっている。しゃべるときくらい出てくればいいのに。
これじゃあ、私が言葉を発したように見えるではないか。

「なんですって!!不要なものを不要だと言って何が悪いのよ。親が資産家だから無理して付き合って婚約まてしたのに、親から勘当されるなんてきいてないわ!裕太にはいっさい援助しないし遺産も残さないだなんて言うんだもの。裕太なんて不要よ。返品するわ。」

「げっ。」

今さら返品されても困るって。
もう裕太には魅力を感じないし、あのスキルのこともあるし。
それにしても優花さんって裕太の親の遺産目当てだったんだ。知らなかった。

「あらあら。なら独身の資産家を紹介しましょうか?」

玉の輿狙いと知って、ユキさんがにこやかに提案してくる。
でも、目が全然笑っていないんですけど。その提案に乗ったらいけないような気がするのは気のせいだろうか。

「ぜひ、紹介してちょうだい!」

優花さんは、ユキさんの言葉に身を乗り出す。どうやら乗り気なようだ。
しかし、ユキさんってば独身の資産家とも繋がりがあるのか。へー。ユキさんの繋がりってすごいなぁ。

「その人はね、王都にいるのよ。」

「王都ですって!!行くわ!!私、大都に行くわ!あなた、私を連れてって!!」

「私は年だからもう王都に行くだけの体力がないわ。それに王都に行くにはお金がかかるわよ?貴女、マユさんに借金しているのでしょう?」

連れてってって、どこまでも他力本願なんだな。優花さんは。
まあ、電車もないし車もないこの国では、移動手段がわからないもんね。
馬車なんて乗ったことないだろうし。まあ、仕方ないけどさ。

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