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三章
3ー17
しおりを挟む「まあ、盗んでしまったからには仕方ない。盗んでしまった作物の対価を支払ってもらうことにしようかのぉ。初犯だしの。」
村長さんは髭を撫でながら、のんびりと裕太と優花さんに告げた。
まあ、妥当なところだろう。
初犯だし、異世界からいきなり知らない世界にほおりだされた訳だしね。
でも、これで改心しなかったらもっと重い罰になるだろうけど。
トマト数個の対価じゃすぐに解決して開放になっちゃうかな。
「ちっ。まあ、仕方ないか。トマト2つ食べたから100円くらいか?」
「私は1個だから50円くらいかしら?」
トマト数個だから金額的にはとても低いよね。
それだけだったらこの二人にもすぐに払えるだろう。
罰という罰にはならないね。
「円?というのがどのくらいかわからないけれど、マユの作ったトマトよ?そんなに安いはずないじゃない。」
マリアが安心している二人に向かって言った。
「はあ?たかがトマトでしょ?1個50円でも高いくらいじゃないの?」
優花の言うとおりである。
ただのトマトだしね。
ん?トマト・・・?
「1個1万ニャールドはくだらないと思うけど?」
「1万ニャールド!?マリアそれは流石に高すぎだと思うよ。だって、トマトだよ!!」
1万ニャールドと言ったら日本円にして約1万円くらいだ。
トマト1個がそんなにするわけないじゃない。
「1万ニャールドって100円くらいか?」
裕太が惚けたようなことを言っている。
そうだよね、こちらの通貨がどのくらいかわからないものね。
「1万ニャールドは日本円にすると1万円くらいよ。」
「はあ!?」
「何言ってるの!?トマトがそんなに高いわけがないじゃない!ぼったくりもいいところだわ。」
うん。私もぼったくり価格だと思うよ。
村長さんも驚いたような顔をしているし。
「そうじゃのぉ。トマトだからのぉ。マリアよ、流石にそれはふっかけすぎじゃ。」
村長さんもそう言っているし。
トマトがそんなに高いわけないじゃない。
「なら、鑑定してもらうわ!」
「って、マリアダメ!!あのトマトを鑑定してもらうのは・・・。」
あんな危険極まりない効果が付与されているトマト、鑑定してもらった日には・・・。
あっ。そうだった。
あのトマトプーちゃんの所為であり得ない効果が付与されているんだった。
思わず冷や汗がでてしまう。
「一般的なトマトの価格でいいから。」
「よくないわ!そんな特別扱い!!」
おおっと。マリアが憤慨している。
持ち主の私がいいって言っているんだけどなぁ。
マリアはどこからともなくトマトを取り出した。
そして、転送ボックスの中にほおりこむと、そのまま転送ボックスの扉を閉じてしまった。
「あっちゃー。」
このトマト世に出さないようにしようって言ってたのに。
マリアったら頭に血が上っちゃったのね。まあ、仕方ないか。
なるようになるよね。きっと。
『へろ~。あなたさぁ~またなんてものを~送ってくれたのかしらぁ~!またぁ~オークションにぃ~なるわよぉ~?』
すぐさま聞こえてきた鑑定士さんの声。
いつもの人でよかった。
「オークションにはしないわ。いくらになるかしら?」
『こんなぁ~効果がぁ~付与されているトマトを~普通のぉ~価格でぇ~出せるわけがぁ~ないじゃないのぉ~。オークションでもぉ~1つ10万ニャールドはぁ~あっという間にぃ~つくと思うわよぉ~。』
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