上 下
250 / 584
三章

3ー17

しおりを挟む
 

「まあ、盗んでしまったからには仕方ない。盗んでしまった作物の対価を支払ってもらうことにしようかのぉ。初犯だしの。」

村長さんは髭を撫でながら、のんびりと裕太と優花さんに告げた。

まあ、妥当なところだろう。

初犯だし、異世界からいきなり知らない世界にほおりだされた訳だしね。

でも、これで改心しなかったらもっと重い罰になるだろうけど。

トマト数個の対価じゃすぐに解決して開放になっちゃうかな。

「ちっ。まあ、仕方ないか。トマト2つ食べたから100円くらいか?」

「私は1個だから50円くらいかしら?」

トマト数個だから金額的にはとても低いよね。

それだけだったらこの二人にもすぐに払えるだろう。

罰という罰にはならないね。

「円?というのがどのくらいかわからないけれど、マユの作ったトマトよ?そんなに安いはずないじゃない。」

マリアが安心している二人に向かって言った。

「はあ?たかがトマトでしょ?1個50円でも高いくらいじゃないの?」

優花の言うとおりである。

ただのトマトだしね。

ん?トマト・・・?

「1個1万ニャールドはくだらないと思うけど?」

「1万ニャールド!?マリアそれは流石に高すぎだと思うよ。だって、トマトだよ!!」

1万ニャールドと言ったら日本円にして約1万円くらいだ。

トマト1個がそんなにするわけないじゃない。

「1万ニャールドって100円くらいか?」

裕太が惚けたようなことを言っている。

そうだよね、こちらの通貨がどのくらいかわからないものね。

「1万ニャールドは日本円にすると1万円くらいよ。」

「はあ!?」

「何言ってるの!?トマトがそんなに高いわけがないじゃない!ぼったくりもいいところだわ。」

うん。私もぼったくり価格だと思うよ。

村長さんも驚いたような顔をしているし。

「そうじゃのぉ。トマトだからのぉ。マリアよ、流石にそれはふっかけすぎじゃ。」

村長さんもそう言っているし。

トマトがそんなに高いわけないじゃない。

「なら、鑑定してもらうわ!」

「って、マリアダメ!!あのトマトを鑑定してもらうのは・・・。」

あんな危険極まりない効果が付与されているトマト、鑑定してもらった日には・・・。

あっ。そうだった。

あのトマトプーちゃんの所為であり得ない効果が付与されているんだった。

思わず冷や汗がでてしまう。

「一般的なトマトの価格でいいから。」

「よくないわ!そんな特別扱い!!」

おおっと。マリアが憤慨している。

持ち主の私がいいって言っているんだけどなぁ。

マリアはどこからともなくトマトを取り出した。

そして、転送ボックスの中にほおりこむと、そのまま転送ボックスの扉を閉じてしまった。

「あっちゃー。」

このトマト世に出さないようにしようって言ってたのに。

マリアったら頭に血が上っちゃったのね。まあ、仕方ないか。

なるようになるよね。きっと。

『へろ~。あなたさぁ~またなんてものを~送ってくれたのかしらぁ~!またぁ~オークションにぃ~なるわよぉ~?』

すぐさま聞こえてきた鑑定士さんの声。

いつもの人でよかった。

「オークションにはしないわ。いくらになるかしら?」

『こんなぁ~効果がぁ~付与されているトマトを~普通のぉ~価格でぇ~出せるわけがぁ~ないじゃないのぉ~。オークションでもぉ~1つ10万ニャールドはぁ~あっという間にぃ~つくと思うわよぉ~。』

 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

異世界でお金を使わないといけません。

りんご飴
ファンタジー
石川 舞華、22歳。  事故で人生を終えたマイカは、地球リスペクトな神様にスカウトされて、異世界で生きるように言われる。  異世界でのマイカの役割は、50年前の転生者が溜め込んだ埋蔵金を、ジャンジャン使うことだった。  高級品に一切興味はないのに、突然、有り余るお金を手にいれちゃったよ。  ありがた迷惑な『強運』で、何度も命の危険を乗り越えます。  右も左も分からない異世界で、家やら、訳あり奴隷やらをどんどん購入。  旅行に行ったり、貴族に接触しちゃったり、チートなアイテムを手に入れたりしながら、異世界の経済や流通に足を突っ込みます。  のんびりほのぼの、時々危険な異世界事情を、ブルジョア満載な生活で、何とか楽しく生きていきます。 お金は稼ぐより使いたい。人の金ならなおさらジャンジャン使いたい。そんな作者の願望が込められたお話です。 しばらくは 月、木 更新でいこうと思います。 小説家になろうさんにもお邪魔しています。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。 息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。 壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。 茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。 そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。 明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。 しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。 仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。 そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

処理中です...