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二章

2ー113

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「どうして?プーちゃんに会いに行くんだい?」

マコトさんが不思議そうに聞いてくる。

「えっと・・・。それはプーちゃんに会ってから説明しますので、炬燵の作成に入る前に一度プーちゃんと会っていただけたらと・・・。」

しろどもどろになりながら言うと、マコトさんは何がなんだかわからないという顔をしながらも頷いてくれた。

「わかったよ。プーちゃんに会うよ。今からでもいいかい?早く炬燵の製作に入りたいんだ。」

「はい。プーちゃんもそろそろ起きてくれると思いますし・・・。」

「そうか。マーニャたちはどうしようか?マーニャたちをシロとクロに会わせたくてここに連れてきたっていうのもあったんだ。」

まだ、嬉しそうに戯れているマーニャたちを見ながらマコトさんが優しく呟いた。

「それは、マーニャたちに聞いてみます。もし、マーニャ達がしばらくここに居たいと言ったら居ても大丈夫ですか?」

「ああ。構わないよ。元々はマーニャたちはうちの子だったんだから。」

「ありがとうございます。マーニャたちに聞いてみます。」

嬉しそうに頬ずりし合っているマーニャたちに近づき、

「お母さんとお父さんに会えたのに邪魔しちゃってごめんね。今から一旦宿に戻るんだけど、マーニャたちはどうする?」

と、私は尋ねた。

『一緒にいくのー。』

と、マーニャが言った。
クーニャとボーニャは、

『ここで待ってるのー。』

『迎えにきてくれるんでしょ?ここにいるのー。』

と、まだまだお母さんとお父さんと一緒にいたいようだ。
ボーニャはクロに、クーニャはシロとそれぞれグルーミングをし合っている。
まだまだ甘えたいお年頃である。

「わかった。じゃあ、待っててね。言ってくるからね。マコトさん、クーニャとボーニャはここに残るそうです。」

「うん。じゃあ、宿に一旦戻ろうか。クロ、シロ、クーニャとボーニャのことを頼んだよ。」

「「にゃあ。」」

マコトさんが言うとクロとシロがわかったというように返事をした。
私たちは来たばかりのマコトさんの家を後にする。
そして、宿の部屋に戻った。
部屋のドアを開けると、「うぅ~~。うぅ~~。」といううめき声が聞こえてきた。

「プーちゃん!!?」

部屋の中にはプーちゃんしかいないわけで。
うめき声が聞こえるということは、プーちゃんが苦しがっているということで、慌てて部屋にかけこむ。
マコトさんも一緒だ。

「どうしたのプーちゃん!!」

「ヘビっ!?」

マコトさんはプーちゃんを見て驚いたように叫んだ。プーちゃんはヘビじゃなくて青竜なんだけれども、今は訂正している余裕がない。
プーちゃんはベッドの上でトグロを巻いてうなり声をあげていた。
とても苦しそうにみえる。
でも、どうしたんだろう。
なんか変なものでも食べたのだろうか?
どうしようどうしようと焦りながらプーちゃんを見ていると、マコトさんが私の肩をポンポンと叩いた。

「安心して。プーちゃんを鑑定することはできないかい?」

「やってみます。」

鑑定することで何かわかるのだろうか?
疑問に思いながらもプーちゃんを鑑定してみる。

「えっ!?」

表示された鑑定結果に思わず声がでてしまう。そんな・・・まさかという思いでいっぱいになる。

「どんな鑑定結果だったんだい?」

マコトさんが落ち着いた声で訪ねてくる。その落ち着いた声に、私も焦っていた気持ちが収まるのを感じた。
ただ、まだ動揺はしているが。

「産卵・・・するらしいです。」

「ああ・・・なるほど。でも、ヘビって産卵するのにこんなに苦しむのだろうか。他に状態異常の情報はないかい?すまないね。僕は鑑定スキルがないから教えてくれないかい?」

「いえ。ありません。」
 
「そうか。難産なだけかな?」

あ、もしかしたら・・・。
プーちゃん今、ヘビに擬態して小さくなっているからその影響だろうか。

「プーちゃん。元の大きさに戻れる?」

「もとの大きさ?」

苦しんでいるプーちゃんに声をかける。すると苦しみながらもプーちゃんはわずかに頷いたような気がした。
瞬間、プーちゃんの身体がぐんぐんと大きくなる。隣でマコトさんが目を白黒させているのがわかったが、今はそれどころではない。

ポンッ。

プーちゃんが大きくなるのと同時に「ポンッ」という音がした。
それと同時にプーちゃんの呻き声も消えた。

『ふぅ・・・。死ぬかと思った。』

プーちゃんはダランッと身体を弛緩させて横たわっている。その隣には手のひらサイズの茶色い卵らしきものが落ちていた。
竜の卵って茶色なの?
一瞬プーちゃんのう○ちかと思ってしまった。
って、それよりもプーちゃん雌だったのっ!?
今さらながらに驚いてしまった。だって、ずっとプーちゃん雄だと思っていたんだもの。
それに、人化したときも男の姿をしていたような気がする。

「・・・青竜・・・なのか?」

「プーちゃん雌だったの?」

マコトさんと私の疑問がほぼ同時に口から飛び出た。

『いかにも我は青竜である。あと、我は雄なのであるっ!』

「「ええっ!!?」」

プーちゃんの返答にマコトさんも私も驚きを隠せない。
なんで雄なのに卵産んでるのっ!?

「プーちゃん雄は普通卵産まないよ!両性具有なの!?」

『我にできないことはないっ!でも、両性具有ではないのである。』

ダメだ。
もう意味わかんない。

「はははっ。青竜の鱗がいっぱいだぁ・・・。」

マコトさんは壊れたように笑っているし。驚きすぎて頭がパンクしちゃったのかな・・・。
しかし、プーちゃんの産んだ卵からは何が帰るのだろうか?
やっぱり青竜?
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