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二章

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「どうして異世界からの迷い人は姿が変わらないんですか・・・?」

姿が変わらないとしたら私はずっとこのままの姿でいなければいけないの?
まわりが年を取っていくなか、自分だけは変わらない姿のまま。

「今はまだ僕の口からは言えない。できれば、君が自分で気づいてほしい。なぜ、年を取れないのかを・・・。」

「そうですか・・・。」

マコトさんは今は教えてくれる気がなさそうだ。どうしてだろう。
それにしても、自分で気づいてほしいとはどういうことだろう。

「あと、君はこちらの世界に来たばかりでまだわからないかもしれないから言っておくけれど、日本に戻れるとは思わない方がいい。今のところ日本に帰る術は見つかっていない。」

マコトさんは声を低くして教えてくれた。
そうか、帰る方法は今のところないのか。それじゃあ、今までの異世界からの迷い人で帰った人はいないってこと?

「今までこちらの世界に来た異世界からの迷い人は帰ったという記録はないということですか?」

「ああ。正確には帰ったのかどうかわからない。突然姿を消した異世界からの迷い人もいるというが、帰ったのかそれともどこかに隠れてしまったのか見当もつかなかったらしい。」

「そうですか・・・。」

マコトさんも日本に帰ろうと思っていたのかな。それで、こんなに詳しくしっているのかもしれない。

「暗い話はここまでにしよう。ユキは元気だったかい?」

「え?あ、はい。元気にしてました。」

「そうか、それはよかった。」

マコトさんはそう言ってにっこりと笑った。やっぱりユキさんのお兄さんだからユキさんのこと心配しているんだなぁ。

「あ、ユキさんから伝言を預かっています。ユキさんに化粧水をあげたんですけれど、なんか化粧水の効果がユキさん気に入ったみたいで、長年の夢が叶うって言ってました。それをマコトさんに伝えてほしいと・・・。」

私がそう言うと、マコトさんは大きく目を見開いた。
そして、握り締めた手がわずかに震えていた。

「ユキの夢が叶う・・・。そんなことが・・・。」

マコトさんの目尻にキラリとした光が生まれる。その光はじょじょに頬を伝っていく。

「マコトさん・・・あのっ・・・。」

「ありがとう。化粧水をユキに渡してくれて。まさかユキの夢が叶うとは思わなかった。」

マコトさんはそう言って私の右手を両手で握った。そうして拝むようにマコトさんの顔の前まで持ち上げられる。
ユキさんの夢ってそんなに叶いづらいものだったんだ。
でも、化粧水で叶うだなんてどんな夢なんだろう。

「あの、差し支えなければユキさんの夢を教えてもらっても?」

「ああ。ユキはずっとハルジオンと一緒に年を取っていきたいと願っていた。異世界からの迷い人は見た目上年は取らないからね。ずっとハルジオンだけが年をとり、自分が年をとらないことを気にやんでいたんだ。だから、ありがとう。まさかそんな化粧水があっただなんて・・・。」

「へ?年を取る化粧水!?」

驚いて思わず声をあげてしまった。

「あれ?君は化粧水の効果がわかっていて渡したんじゃないのかい?」

マコトさんはこちらを見て驚いた顔をしている。

「あ・・・はは。化粧水の効果がわかるほど鑑定スキルのレベル高くないんです。だから化粧水の効果がわからなくって・・・。」

もう笑うしかない。
そんなアホみたいな効果の化粧水だったなんて。
プーちゃんったら、もう。
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