217 / 584
二章
2ー98
しおりを挟む
「あの化粧水は全てベアトリクスさんに渡しておりまして・・・。ベアトリクスさん経由でベアトリクスさんの上司もしくは女王様にお渡しする手はずとなっておりまして・・・。」
「ええ。もう、手元にありますよ。それで、私がもらってもいいかしら?」
化粧水が今、手元にないことを説明するとベアトリクスさんの上司と思われる女性がすでに受け取っていると教えてくれた。その後の化粧水をどうすべきかということを確認されていることに思い当たる。
「それでしたら私は問題ありません。ですが、一度女王様に謁見する予定がございまして。もし、女王様から化粧水に関する沙汰があればそちらを優先させていただきたいのですが。あと、あのような化粧水を作ってしまったことに対して何か罰があったりするのではないでしょうか。」
どきどきしながら、女性に確認をする。
でも、女王様に謁見しないといけないということは、化粧水をどうするのか女王様に委ねる必要もあり、私の一存だけでは目の前の女性に渡して良いのか検討もつかない。
そのまま女性に伝えると、女性は目を大きく見開いてから「まあ。うふふっ。」といたずらっ子のように笑った。
隣からベアトリクスさんが、私の服の裾をツンツンと引っ張っている。
どうしたのかと、ベアトリクスさんを見ると、薄っすらとその額に汗をかいていた。
「目の前にぃ~いらっしゃる方がぁ~このレコンティーニ王国のぉ~女王様ですよぉ~。」
「えっ!?」
ベアトリクスさんが小声でこっそりと教えてくれる。
驚きすぎて、目の前の女性を凝視してしまった。
まさか、この美しすぎる女性が女王様だったなんて。
確かに女王様と言えば納得できるだけの威厳も気品も備えられている。
この女性が女王様でなければ誰が女王様なのだろうかというくらいだ。
まさか、こんな宿に女王様自ら来るわけがないという先入観から女王様ではないと思い込んでいた。
「じょ、女王様とは知らずにご無礼を・・・。申し訳ございませんっ!」
私はそのまま女王様に平謝りをする。
「うふふ。気にしないで。ちょっと新鮮だったわ。」
でも、女王様は気にしていないようで朗らかに笑っていた。
どうやら許してくれるようだ。
よかった。女王様が優しい人で。
目の前の女性が女王様だとわかったことで、先ほどまでベアトリクスさんが「来ちゃう来ちゃう。」と慌てていた理由がやっと理解できた。
何が来ちゃうのかと思ったら、女王様だったのね。
それは慌ててしまうよね。
謎がひとつとけてすっきりした。
って、謎は解けたけど、目の前に女王様がいるだなんて俄には信じられない。信じたくない。
だって、こんな着古した服を来ているし、化粧道具を使いきっちゃったから、メイクだってしてないし。
挙げ句のはてには、女王様だって気づかなかったし。もう、穴があったら入りたいくらいだ。
「で?この化粧水は私にくれるのかしら?」
「はい!もちろんでありますです!」
女王様の言うことには逆らえないし、そもそもこんな騒動の種にしかならなそうな化粧水を持っていても仕方がない。
女王様なら正しく使用してくれそうだし、騒動になることはきっとないだろう。
そう思って化粧水は女王様に献上することにした。この化粧水が後々貴族の間で大騒動を引き起こすのだが、この時の私はまだ知るよしもなかった。
「うふふ。ありがとう。では、お礼になにを差し上げようかしら。やはりお金がいいかしら?それとも爵位?」
「お、お金!?しゃ、爵位!?」
女王様はそんな何気ない感じに告げてくるけど、爵位ってよっぽどのことだと思うんだけど。っていうか、化粧水に関してはおとがめなしなのだろうか。
もう、作らないようにとか言われるかと構えていたのだけれども。
「ええ。もう、手元にありますよ。それで、私がもらってもいいかしら?」
化粧水が今、手元にないことを説明するとベアトリクスさんの上司と思われる女性がすでに受け取っていると教えてくれた。その後の化粧水をどうすべきかということを確認されていることに思い当たる。
「それでしたら私は問題ありません。ですが、一度女王様に謁見する予定がございまして。もし、女王様から化粧水に関する沙汰があればそちらを優先させていただきたいのですが。あと、あのような化粧水を作ってしまったことに対して何か罰があったりするのではないでしょうか。」
どきどきしながら、女性に確認をする。
でも、女王様に謁見しないといけないということは、化粧水をどうするのか女王様に委ねる必要もあり、私の一存だけでは目の前の女性に渡して良いのか検討もつかない。
そのまま女性に伝えると、女性は目を大きく見開いてから「まあ。うふふっ。」といたずらっ子のように笑った。
隣からベアトリクスさんが、私の服の裾をツンツンと引っ張っている。
どうしたのかと、ベアトリクスさんを見ると、薄っすらとその額に汗をかいていた。
「目の前にぃ~いらっしゃる方がぁ~このレコンティーニ王国のぉ~女王様ですよぉ~。」
「えっ!?」
ベアトリクスさんが小声でこっそりと教えてくれる。
驚きすぎて、目の前の女性を凝視してしまった。
まさか、この美しすぎる女性が女王様だったなんて。
確かに女王様と言えば納得できるだけの威厳も気品も備えられている。
この女性が女王様でなければ誰が女王様なのだろうかというくらいだ。
まさか、こんな宿に女王様自ら来るわけがないという先入観から女王様ではないと思い込んでいた。
「じょ、女王様とは知らずにご無礼を・・・。申し訳ございませんっ!」
私はそのまま女王様に平謝りをする。
「うふふ。気にしないで。ちょっと新鮮だったわ。」
でも、女王様は気にしていないようで朗らかに笑っていた。
どうやら許してくれるようだ。
よかった。女王様が優しい人で。
目の前の女性が女王様だとわかったことで、先ほどまでベアトリクスさんが「来ちゃう来ちゃう。」と慌てていた理由がやっと理解できた。
何が来ちゃうのかと思ったら、女王様だったのね。
それは慌ててしまうよね。
謎がひとつとけてすっきりした。
って、謎は解けたけど、目の前に女王様がいるだなんて俄には信じられない。信じたくない。
だって、こんな着古した服を来ているし、化粧道具を使いきっちゃったから、メイクだってしてないし。
挙げ句のはてには、女王様だって気づかなかったし。もう、穴があったら入りたいくらいだ。
「で?この化粧水は私にくれるのかしら?」
「はい!もちろんでありますです!」
女王様の言うことには逆らえないし、そもそもこんな騒動の種にしかならなそうな化粧水を持っていても仕方がない。
女王様なら正しく使用してくれそうだし、騒動になることはきっとないだろう。
そう思って化粧水は女王様に献上することにした。この化粧水が後々貴族の間で大騒動を引き起こすのだが、この時の私はまだ知るよしもなかった。
「うふふ。ありがとう。では、お礼になにを差し上げようかしら。やはりお金がいいかしら?それとも爵位?」
「お、お金!?しゃ、爵位!?」
女王様はそんな何気ない感じに告げてくるけど、爵位ってよっぽどのことだと思うんだけど。っていうか、化粧水に関してはおとがめなしなのだろうか。
もう、作らないようにとか言われるかと構えていたのだけれども。
33
お気に入りに追加
2,574
あなたにおすすめの小説
王宮を追放された俺のテレパシーが世界を変える?いや、そんなことより酒でも飲んでダラダラしたいんですけど。
タヌオー
ファンタジー
俺はテレパシーの専門家、通信魔術師。王宮で地味な裏方として冷遇されてきた俺は、ある日突然クビになった。俺にできるのは通信魔術だけ。攻撃魔術も格闘も何もできない。途方に暮れていた俺が出会ったのは、頭のネジがぶっ飛んだ魔導具職人の女。その時は知らなかったんだ。まさか俺の通信魔術が世界を変えるレベルのチート能力だったなんて。でも俺は超絶ブラックな労働環境ですっかり運動不足だし、生来の出不精かつ臆病者なので、冒険とか戦闘とか戦争とか、絶対に嫌なんだ。俺は何度もそう言ってるのに、新しく集まった仲間たちはいつも俺を危険なほうへ危険なほうへと連れて行こうとする。頼む。誰か助けてくれ。帰って酒飲んでのんびり寝たいんだ俺は。嫌だ嫌だって言ってんのに仲間たちにズルズル引っ張り回されて世界を変えていくこの俺の腰の引けた勇姿、とくとご覧あれ!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる