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二章

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オークション会場の暑すぎる熱気に当てられながらぽけーっとオークションの進行を見守っていると、どうやら牛乳味の化粧水の落札価格が決まったようだ。

『83万ニャールドでのぉ~落札にぃ~なりますぅ~!』
 
「83万!?10本で830万!?」
 
とてつもない金額になってきた。
どうやら先にコーヒー味の化粧水を落札した人たちがなんとしてでも、牛乳味の化粧水が欲しいと落札価格を上げていったようだ。コーヒー味と牛乳味を混ぜた時の効果を期待しているようにも見える。
ちなみに驚いたことに、ザックさんはコーヒー味の化粧水と牛乳味の化粧水の両方を落札していた。
無言でプラカード上げていたから気づかなかった。
ザックさんにだったら別にあげてもよかったんだけど、一体誰が化粧水を使うのだろうか。
自分で使うわけではないだろうし。
ザックさんの妹のアンナちゃんだってまだまだ幼いから化粧水になんて興味ないだろうし・・・。ってまさか、可愛いアンナちゃんに化粧しを飲ませて猫耳と尻尾を堪能しようっていう魂胆なのかしら。
それだとすると、ザックさんがとてつもない変態になっちゃうんだけど・・・。

「ザックさん、化粧水落札ありがとうございます。ザックさんだったら欲しいと言ってくれれば個別に売ってあげたのに・・・。」
 
「そうはいなかい。商品なんだから。」
 
「そうですか。誰にあげるか聞いてもいいですか?」
 
「・・・。」
 
誰にあげるかはどうやら教えてくれる気がないようで、黙り込んでしまった。
ほんと、いったい誰にあげるんだか。
でも、キャティーニャ村の人だったらきっとわかるよね。
だって、三日間は猫耳と尻尾が生えた状態なんだもん。
見ればすぐわかるし、狭い村だから三日も姿を見せなければすぐに誰のことだかわかるだろう。
 
『続きましてぇ~コーンポタージュ味のぉ~化粧水にぃ~移りますぅ~。コーンポタージュってぇ~美味しいですよねぇ~。私もぉ~大好きなんですぅ~。』
 
ベアトリクスさんはコーンポタージュ味の化粧水を頭上に掲げる。
容器が光に反射してキラリと煌いた。
 
『今度のぉ~化粧水のぉ~効果はぁ~ですねぇ~。なんとぉ~猫耳がぁ~生えてきますぅ~!黒じゃないですよぉ~コーンポタージュとぉ~同じ黄色っぽい~猫耳がぁ~生えますぅ~!これもぉ~もしかしたらぁ~牛乳味のぉ~化粧水とぉ~まぜたらぁ~何かがぁ~おこるかもしれないですねぇ~。あ、ちなみにぃ~猫様の言ってることもぉ~わかるようにぃ~なりますぅ~。コーヒー味のぉ~コーンポタージュ版とぉ~考えてぇ~よさそうですぅ~。』
 
ベアトリクスさんが化粧水の効果を説明してくれた。
コーンポタージュ味の化粧水はコーヒー味の化粧水と色が異なるだけで同じ効果のようだ。
そうすると、コーヒー味の化粧水を購入した人たちはオークションに参加しないかもしれない。
だって、色違いだったらいらないよね?
ただでさえ化粧水の値段としては高い値段になってきてしまっているし。
 
『ではぁ~こちらもぉ~25万ニャールドからぁ~開始ですぅ~!』

結果。
コーヒー味を落札できなかった人たちが躍起になってプラカードを上げ、値段を吊り上げていった。そうして、コーヒー味と牛乳味の両方を落札した人もまた値段を吊り上げていった。
どうやら色違いのものも欲しかったようである。
そうしていくうちに、金額としては55万ニャールドとなり落札となった。
予断だが、ザックさんはまたしても落札していた。
ザックさんってそんなに仕事で儲けているのだろうか・・・。
ここまでで188万使っているんだけど・・・。

さて、最後は納豆味の化粧水の番である。
今回出品した化粧水の中ではこれが一番飲むには向いていない化粧水だが、果たしていくらの値段がつくのだろうか。
どきどきしながらベアトリクスさんを見つめる。

『お次はぁ~納豆味のぉ~化粧水ですぅ~。・・・って!この化粧水はぁ~オークションにぃ~出せまないじゃないですかぁ~!!このような化粧水を~オークションにぃ~出してしまったらぁ~、私、怒られちゃいますぅ~!!』

「えっ?」

オークションに出せないってどういうこと!?
なんか、化粧水に不備でもあった?
もしかして、毒薬とか?

化粧水を購入できなかった人たちから非難の声があがる。
そうだよね。
もしかしたら買えたかもしれないんだもんね。

「あの、どうしてですか?」

私は、ベアトリクスさんに理由を尋ねた。

 

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