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二章

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どんどんと釣り上がっていく金額に呆然とする。
だんだんとベアトリクスさんの表情も苦虫を噛み潰したようになってきた。

『みぃ~なぁ~さぁ~ん。これは~
化粧水一本のぉ~価格にぃ~なりまぁすぅ~。またぁ~、化粧水はぁ~お一人様各種一本までとぉ~させていただきまぁ~す。』

「30000!」

「35000!」

ベアトリクスさんがまだ化粧水があるということを告げてもまだまだ価格が上昇していく。
該当の金額で購入可能な人は手に持った手のひらサイズの番号が書かれたプラカードを頭の上に掲げているのだが、まだ一人もプラカードを下げない。
最終的には、掲げられているプラカードが10枚以内になれば落札確定だ。
最後までプラカードが上がっていた人、10人が落札者となる。
会場内には231人の参加者がいるが、今のところ誰一人としてプラカードを下げない。
もちろん、ベアトリクスさんも進行役だがちゃんとにプラカードを上げている。彼女もこの化粧水が欲しいようだ。
しかし、猫耳の需要半端ない・・・。

「50000!」

5万ニャールドになったら、少しプラカードの数が減ってきた。
まあ、減ってきたと言ってもまだ8割以上はプラカードを上げたままだ。
どこまで値が釣りあがっていくのだろう。

『流石、我の作った化粧水だな。どんどん値上がるがいい』

私の肩の上で蛇の姿のプーちゃんが踏ん反り返っている。

『マーニャの作った化粧水も負けないのっ!』

『ボーニャもっ!』

『クーニャも化粧水作るのっ!!』

プーちゃんが満足気に威張っているので、どうやらマーニャたちも闘争心が沸きあがったようだ。
自分たちも化粧水を作るとプーちゃんに対して闘志を燃やしている。
今度化粧水を作るときはマーニャたちが手伝ってくれるかなぁと期待する。
ほのぼのとマーニャたちを見つめていると、

「100000!」

ついに10万ニャールドまで金額が跳ね上がった。
とたんにベアトリクスさんが苦悶の表情を浮かべる。

『(もぅ~これ以上はだせないからぁ~。とっておきの追加情報を・・・。どうせ買えないんだったらぁ~金額が上がるだけあげてやるんだから~。)ちなみにぃ~、この化粧水でぇ~猫耳がぁ~生えると、なんとぉ~猫様がぁ~なんて言っているかぁ~わかるようにぃ~なりまぁ~す。それにぃ~ここにいるぅ~女性はぁ~猫耳ついてますぅ~。こんな風にぃ~なりますぅ~。参考にぃ~してねぇ~。』

んにゃ!?
猫の言葉がわかるようになるって効果は初めて聞いたんだけど・・・。もしかして、ベアトリクスさん、自分が化粧水購入したいから低価格で買えるように情報操作してた・・・?
なぁんて、まさかね・・・。
って、私に会場の視線が集中しているし!!ベアトリクスさん、余計なこと言わないで欲しいよ。

「猫耳・・・あんなにすばらしいのか・・・。」

「ぐふっ。何あれ。可愛すぎる。」

「触りたい・・・。」

「ヤバイ………。」

なんだか、会場中がざわざわとざわめいている。そうして、10万ニャールドと聞いてプラカードを下ろしていた人たちが一斉にプラカードを掲げた。

「110000!」

「150000!」

また、値段が上がり始めた。
今度は先程よりも金額が跳ね上がっていく。
ほんともう、どこまであがるんだろう。

「500000!」

『50万ニャールドですぅ~。ちょうどぉ~入札者9名ですねぇ~。じゃあ~今~、プラカードあげている9名の方にぃ~決まりですぅ~。』

ベアトリクスさんが終了の声をかけ、コーヒー味の化粧水はなんと50万ニャールドで落札された。9本分の価格ではなく1本分の価格だ。9本だと450万ニャールドだ。
いっきに私、お金持ち・・・。
信じられなくて、肩に乗っているプーちゃんの頬をつねる。

「・・・痛くない。やっぱり夢かな?」

プーちゃんの頬をつねっても全く私自身は痛くもなんともなかった。どうやらこのオークションは夢だったようである。
そうだよね。こんなに高値がつくわけがないもんね。

『マユ、プーちゃんの頬をつねってマユの頬が痛くなるわけないの。ばかなの?』

「あっ・・・。」

クーニャに突っ込まれて気づく。そうだった。プーちゃんの頬をつねったって私が痛いわけじゃなかった。

『続きましてぇ~。牛乳味のぉ~化粧水にぃ~なりますぅ~。こちらもぉ~お肌がぁ~つるつるにぃ~なりますぅ~。そして~、なんとっ!白い猫様のぉ~尻尾がぁ~生えますぅ~。これでぇ~、猫様とぉ~尻尾でぇ~挨拶できるようにぃ~なりますよぉ~。』

「ぶっ!!」

ベアトリクスさんの説明に思わず吹いてしまった。よかった、本当によかった。化粧水を興味本意で飲まなくて。飲んでたら猫耳と尻尾が両方生えて来ちゃってたよ。
って、コーヒー味と牛乳味の化粧水を混ぜてのんだらどうなるんだろう。味はコーヒー牛乳だよね。別々に飲んだから黒い猫耳の白い尻尾でちぐはぐだけど、混ぜてのんだら灰色の猫耳と尻尾になったりするのかな。
あれ、ちょっと試してみたくなったぞ。
誰か試して見てくれないかなぁ。

『あ、この化粧水はぁ~コーヒー味のぉ~化粧水とぉ~違ってぇ~猫様のぉ~言っていることはぁ~わからないけどぉ~猫様にぃ~言いたいことがぁ~伝わるようにぃ~なりますぅ~。』

なんだってっ!?
つまりやっぱりこの化粧水はコーヒー味と牛乳味を両方飲むことを想定されているような気がする。
ほんと、誰か試して見てほしい。

「・・・コーヒー味と牛乳味を混ぜてみたい。」

『はっ!マユさん~ナイスアイディアですぅ~!コーヒー味とぉ~牛乳味を~混ぜて飲んだらぁ~もしかするとぉ~猫耳とぉ~尻尾がぁ~両方生えてぇ~さらにぃ~猫様とぉ~会話がぁ~できるかもしれません~!ってことでぇ~開始値はぁ~先程のぉ~落札価格のぉ~半分のぉ~25万ニャールドからぁ~開始ですぅ~。』

ベアトリクスさんが声高らかに宣言すると会場中が熱気に包まれた。
なにやらみんなが興奮しているようだ。
さっき、落札できなかった組がとても悔しがっている姿が見える。そうして、落札した組は是非とも次も落札しようと算段しているようである。

「300000!」

「350000!」

「450000!」

こちらもあっという間に値段がつり上がっていく。みんなよくお金あるよねぇ~。と関心しながらオークションの進行を見守っていた。
でも、化粧水って毎回同じ効果にならないよねぇ。不思議だな。
それにしても、納豆味とコーンポタージュ味の化粧水はどんな効果があるんだろうか。
早くベアトリクスさん教えてくれないかなぁ。

 

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