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二章
2ー87
しおりを挟む『はっ!』
目を回して倒れていたプーちゃんはマーニャたちに名前を呼ばれたとこで、意識を取り戻した。
そしてあたりを見渡して、私が錬金釜のそばにいるのを確認してすっ飛んできた。
『間に合ったか!?』
まだ小さい蛇のような姿をしていたプーちゃんは錬金釜の蓋に身体ごと体当たりした。
瞬間、眩い光が錬金釜を包み込む。
『………間に合った。これで、マーニャ様たちに怒られずにすむ』
小さく呟いたプーちゃんは、まだダメージが残っているのかずりずりと錬金釜からずり落ちて床にポトッと落ちた。
「………プーちゃん、別に錬金釜に魔力込めてくれなくてもよかったのに」
そうすれば、他者の魔力が込められない場合の化粧水の仕上がり具合も確認できたんだけど。
というか、レベル100の冒険者が束になってやっと勝てるというプーちゃんをこんなに消耗させてしまうマーニャたちって、もしかして、もしかしなくても、マーニャたちってこの世界で最強の存在なのだろうか。
床で伸びているプーちゃんを拾い上げると、ベッドの上に寝かせた。
やっぱり、ずっと床で寝てるってのも感じが悪いしね。
気を取り直して、錬金釜の蓋を開ける。
そこには10本の化粧水が出来上がっていた。
「今日は何味かしら?プーちゃんが魔力を込めたから醤油味だったりして」
取り出して、見た目を確認してみる。
どうやら今回も黒い液体が入っているようだ。
醤油味の気配が濃厚である。
でも、念のため鑑定してみると、なんと醤油味じゃなくコーヒー味だった。
「コーヒーだ!!」
この世界に来てからまだ一度もコーヒーを飲んでいない。
紅茶はあるのにコーヒーはまだキャティーニャ村では見かけていないのだ。
もしかしたら王都にあるかもしれないと期待はしていたんだけれども、まさかの化粧水がコーヒー味でした。
記憶から甦って来るコーヒーの深い芳醇な香りとコクのある味わい。
ゴクリッと喉がなった。
なにせ久々のコーヒーなのである。
しかも、10本もある。
これはもう飲むしかあるまい。
私は化粧水の効果を確認するのも忘れて、コーヒーを飲めるという嬉しさで、思わず化粧水を飲んでしまった。
「お、美味しい………」
久々のコーヒーの味はやはり美味しかった。
とてもとても美味しかった。
美味しい美味しいと言いながら化粧水を1本飲みきった私は満足感を覚えた。
そして、ハタッと思い出す。
「この化粧水の効果って………何っ!?」
効果を確認するには、王都の鑑定士さんに頼まなければならなかった。まだ私の鑑定レベルでは効果までは確認がとれないのだ。
以前作った化粧水は肌の色が変わったり目の色が変わったりするものだった。
ユキさんに上げたのは未だ効果がなんだかわからないけれど。
見た目に関する変化が濃厚なんだけど………。
キョロキョロと辺りを見回し、鏡がないか確認してみる。
が、見える範囲ではなかった。
おトイレには確かあったはず………と、トイレの方を見ると、マーニャたちがこちらを凝視している姿が目に入った。
「え?………なに?」
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