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二章

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「マユさん。意気込んでいるところ悪いが、先に宿を決めてしまおう。」

私がマコトさんを探すために気合いを入れていれば、横からザックさんが提案してきた。

「そういえば、王都ではザックさんと別行動なんですよね?」

「ああ。私は仕入れがあるからな。」

「そうですか。」

「だから拠点となる宿をまずは決めよう。」

「そうですね。」

そういうことになった。
待ち合わせをするにも、王都は人が多いため私みたいな初めて王都にやってきた人なんてとても待ち合わせは難しいだろう。
そうであれば、宿で待ち合わせというのが一番安心できる。
ある程度名の売れている宿に泊まれば、最悪道に迷っても宿の名前を出せば、場所を教えてくれる人もいるだろう。
王都を一人で行動するっていうのは多少不安が残るが、私だってもう三十路をとうに過ぎている。
三十路女が一人で行動できないだなんて恥ずかしいにも程がある。
それに、マーニャたちは一緒に行動予定だし。ザックさんがいなくても問題ないだろう。

「マユさんは化粧水が作れたんだったよな?錬金釜を格安で貸し出してくれる宿がある。材料もそこらで売っているだろう。もし、お金が足りないようなら化粧水を錬金して売るといい。」

「え?錬金釜借りれるんですか?」

「ああ。いくつかの宿で貸し出している。」

「じゃあ、そこの宿でお願いします。」

せっかくの王都だものね。
たくさん買い物もしたいし。それには、お金が必要だし。
なにより、マコトさんのところで炬燵を買いたいし。って、炬燵を買えるだけのお金まだないけど、格安の炬燵があるかもしれないし。

「わかった。こっちだ。ついてこい。」

『我はお風呂がある宿がよいぞ。』

私の肩に乗っているプーちゃんが言った。ちなみにプーちゃんは蛇サイズに小さくなっている。王都で通常サイズのプーちゃんだと、周りが恐怖で混乱する可能性があるからだ。
でも、私の肩に乗っていいなんて一言も言ってないんだけどね。

『お風呂反対!!』

『お風呂だめ!』

『マユ死んじゃうからダメ!!』

「えっ!?いやいやいや、もうお風呂で寝ないから、お風呂がある宿がいいです。お願い!」

ザックさんがお勧めの宿を教えてくれようとしているが、プーちゃんとマーニャたちから宿に関する要望があがった。
方や風呂ありの宿、方や風呂なしの宿と全くの正反対な要望だ。
私は、断固風呂ありの方がいいけど。
だから、プーちゃんに援護する。

「風呂か・・・。今から案内しようとしていたところは風呂ありだ。王都だと風呂なしの宿は安宿ばかりで治安があまりよろしくない。それに、錬金釜はないぞ。」

『いや!』

『お風呂ダメなの~。』

『マユ、お断りして?』

マーニャたちが必死に断るように告げてくる。でもなぁ~。お風呂も錬金釜もないんじゃなぁ~。
いくらマーニャたちの頼みでも・・・って。あれ?
私、マーニャたちの言葉がわかる!?
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