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二章

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「くっ………。」

やはり、転移時の目眩はちょっときついものがある。
まあ、馬車よりぜんぜんマシなんだけどね。
でもさ、こうもうちょっとなんとかならんのかね。

「………ここは………。」

ザックさんが、なにやら呟いている。
どうかまともな馬車であればいいんだけど。というか、できれば王都であればいいんだけど。

「………どこ、なんですか?」

恐る恐るザックさんに確認する。
ザックさんは、こくりと頷いた。隣にいたプーちゃんも、「うむうむ。」としたり顔だ。
今までみた中で一番賑わっていそうな街の入り口がすぐそばに見えた。
うん。
すぐ、そばに。
………目の前に。
転移してしまったのである。
栄えている街の門の目の前に転移してしまったのである。

「………王都だ。」

ザックさんが、教えてくれた。

「さすが、我だな。さあ、思う存分誉めるがいい。」

プーちゃんが胸をはって告げる。

「すごいね。プーちゃん。流石だね。プーちゃん………。」

思わず感情のこもっていない硬い声がでてしまう。
確かにね、王都に転移できたのは大成功であるのだ。そこは、誉めなければいけない。
でもね。
王都の門の真ん前に転移してしまったのだ。
もちろん王都だから、門には警備の人がいる。それに、王都に入りたい人々の列が門に向かって延びており、門番の検査を受けている。
検査と言っても身分証明を提示して、手荷物検査を受けているだけだが。
そんな人々がいっぱいいる中に転移してしまったのである。
もちろん人々は、いきなり現れた私達に視線を向けている。嬉しくないことに注目の的だ。
しかも、プーちゃんなんて、竜だし。
門番の人も驚きすぎて固まってしまっている。

「でもね、プーちゃん。人がいっぱいいる目の前に転移しないでもらえるかな?」

「す、すまぬ。つ、つい………。」

私が怒っていることが伝わったのか、プーちゃんがタジタジとしている。
そして、「きゅーーー。」っと言う高い声をあげて、身体をマーニャたちくらいの大きさに小さくした。
目立たないように小さくなったみたいだけど、もう遅いよ。
ばっちり、ここにいた皆に見られてるから!

「お、おまえたちっ!!何者だっ!!」

「そ、それは竜だろう!な、なにゆえ竜を引き連れているっ!!」

しばらく固まっていたが、なんとか我にかえった二人いた門番の人達がこちらに剣を向けて警戒してきた。
でも、剣を向ける手がプルプルと震えている。
足もガクガクと震えている。
どうやら、転移よりも目の前に竜が現れたということの方に気をとられているようだ。

「………蛇、ですよ?」

小さくなって、ちょうど蛇と言っても過言ではない。

「「「「「うそだっ!!」」」」」

門番だけではなく、まわりにいた街に入るために検査待ちをしていた人々までが一緒になって声をあげた。
やはり通常サイズのプーちゃんをしっかり見られていたから、誤魔化せなかったかぁ。
隣でザックさんも頭を抱えている。
せっかく王都に転移できたのにね。
門の方からわらわらと兵士と思われる人達が剣を構えながらこちらに向かってくる。

どうしろっていうのよ、これ。
今にも攻撃されそうなんだけど!!
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