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二章

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マーニャたちと歩いてもう一度獣人の街に戻る。

マーニャたちの歩調に合わせているのでゆったりとしたスピードで歩いている。

まあ、マーニャたちは猫なので私がゆったりとしたスピードで歩いていてもマーニャたちは多少小走りになっているが。

でも、マーニャたちが小走りする姿が可愛い。

尻尾をピンッと立てて、プリッとしたお尻をふりふりしながら、歩く姿なんてもう可愛すぎる。

このままさらって行きたいくらいだ。

まあ、一緒に住んでいるからさらっていくもなんもないんだけど。

それくらい可愛い姿ってことで。

3匹で小走りをしていたが、その内競い合うように走り出してしまった。

どうやら並んで歩いていると競争したくなるようだ。

うむ。

猫という生き物は小さい割に走るのが速い。

私が走って追いかけてもどんどん距離が引き離されていく。

そして、猫にもやはり個体差があるらしく、次第にボーニャがマーニャとクーニャから引き離されていった。

 

「ふふっ。可愛いなぁ、もう」

 

体力が尽きたのか、ボーニャは走るスピードを落とし、その場に止まってしまった。

そして、自分を慰めるかのようにペロペロと前足を舐めてからその前足で顔を洗っている。

 

「ボーニャ、置いていかれちゃったね」

 

「にゃっ!」

 

後ろから声をかけると、毛づくろいをやめてこちらを振り向いた。

そして、違うんだよ!というように頭を横にブルブルと振っている。

ああ、先ほどまで会話できていたのに会話ができないと何を言っているのかよくわからない。

でも、なんとなく「ちょっと休憩しているだけっ!」って言っているような気がする。たぶん。きっと。

もしくは、「マユを待ってたのっ!」って言っているような気がする。

やはり会話ができないとなると、何を言いたいのかわからなくて少し寂しいなぁ。

ボーニャが獣人の街から出たくなくなる気持ちがわかった。

つい先ほどまで会話ができていたから余計に・・・。

私がマリアみたいに動物たちと会話ができればいいんだけど・・・。

 

「待っててくれてありがとう」

 

「にゃ♪」

 

おお。どうやら感が当たっていたようだ。

ボーニャが嬉しそうにゆったりと尻尾をゆらしながら、こちらを満足そうな瞳で見つめてくる。

時折まばたきする姿がとても可愛い。

 

「おいで」

 

ボーニャを抱いて行こうと思って両手を差し出したところ、ボーニャがその手に擦り寄ってきた。

どうやら私の意図をボーニャも汲み取っているようだ。

私はボーニャの両脇からお腹に手を入れてそっと持ち上げて抱き上げた。

猫を抱き上げるときは注意が必要だ。

持ち上げるために手を引っ張ってしまうと手の神経がちぎれたり脱臼したりする恐れがある。

意外と猫の身体は脆いので注意する必要がある。

 

「ゴロゴロゴロゴロ・・・」

 

抱き上げられたことが嬉しいのか、私の肩口に顔を埋めてボーニャがゴロゴロと喉を鳴らし始めた。

そのまま私たちは獣人の国に入り、泉に向かう。

泉に着くとそこには既に人の姿をしているマーニャとクーニャがいた。

 

「マーニャもクーニャも足が速いね」

 

ボーニャを地面に降ろしながらマーニャとクーニャに声をかける。

マーニャもクーニャも得意満面の笑みを浮かべている。

 

「あたりまえなのっ!」

 

「瞬間的に時速50Km出せるんだからっ!」

 

おお。クーニャったら時速って言葉知っているなんてすごいじゃないか。

って、猫って時速50kmも出せるの!?

思わずびっくりしてしまった。

 

ポチャンッ。

 

ビックリしてマーニャとクーニャを見ていると、ボーニャが泉に飛び込んだようで水の中に何かが落ちる音が聞こえた。

そして、

 

ザバーーーッ

 

という水の音と供に泉から人の姿をしたボーニャが姿を現した。

その顔はとても嫌そうだ。

 

「どうしたの?ボーニャ、すっごく嫌そうな顔をしているけれども?」

 

「水・・・嫌い」

 

そうだった。

猫は水に濡れるのが嫌いだったんだと今更ながらに思い出した。

それでも、泉に飛び込むってことはそれだけ人の姿になって会話をしたいってことかな。

マーニャとクーニャも同様で「水、嫌い」と同じように呟いていた。

人の姿になって会話するためとはいえ、嫌いな水に飛び込まなければならないなんてあまりにもマーニャたちが不憫だ。

やっぱり早く猫の姿のマーニャたちとも会話できるようにならなければ。

がんばれ、私。

生えてよ、猫と会話できるスキル。

 

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