185 / 584
二章
2ー66
しおりを挟むザックさんにも会いに行かなければならないけれども、それよりまずはマーニャたちに会いに行こうか。
その方が近いし。
プーちゃんと一緒に宿に入る。
「「「「「いらっしゃいませっ!!!」」」」」
すると、大勢の従業員さんが出迎えてくれた。
それぞれ、お客が来ると動作を止めて迎え入れるための挨拶をしているようだ。
所作がとても綺麗で揃っており、従業員教育の高さが伺える。
日本でもこんな風に出迎えてくれるような宿ってあんまりなかったよなぁ。
それこそ格式高い旅館とかはこんな感じなのだろうか。
縁がなくて一度も行ったことがないけれども。
玄関にある調度品も一目見て質が良さそうなものばかりであった。
また、煌びやかな中にもしっかりとした品があり交換が持てる。
「お勤めご苦労である。我らはマーニャ様たちの連れだ。部屋に案内してもらえるか?」
「はい。こちらにございます。」
おお!プーちゃんがしっかりとした発言をしている。
いつものプーちゃんと違って頼りになる感じだ。
プーちゃんの問いかけにいち早く対応したのは受付と思われるブースに笑顔で立っていたウサ耳の女性だった。
うう。くりっとしたお目目がとても可愛い女性である。
ウサ耳がとてもよく似合っている。
小柄で華奢なところも、可愛いウサギみたいでとてもグッと来るものがある。
チラリッと隣を歩くプーちゃんを見るが、プーちゃんはこの女性にはあまり興味がないようでごくごく普通の顔をしている。
「どうした。マユ殿。我の顔になにかついているか?」
「えっ!なんもついてないよ!いや、本当にプーちゃんなのかなぁ~って思っただけ。見た目違いすぎるし。」
ジッとプーちゃんを見つめていたら、私の視線を不審に思ったプーちゃんから声をかけられた。
以外とプーちゃんも鋭いものである。
「ふむ。マーニャ様たちを真似て泉に飛び込んだからな。あの泉の効果はこの街を出て1時間すると切れてしまうらしい。」
「ふぅ~ん。この街にいる間はずっとこのままなの?」
「うむ。このままだな。」
「そうなんだ・・・。」
ということは、マーニャたちと話ができるのもこの街だけといことになる。
なんだか、この街から離れたくないなぁ。
マーニャたちが普段何を思っているかずっと知りたいと思っていたし、この可愛い子たちがおしゃべりしたらもっと可愛いんだろうなって思っていた。
だから、こんな形でその願いが叶ったことは実はとても嬉しかったのである。
でも、猫の姿でニャーニャーしゃべるのも可愛いなとは思うが。
この街から離れるとマーニャたちとも会話ができなくなるので、いっぱい話しておかなきゃと思った。
「こちらでございます。」
「うむ。ご苦労だった。」
「案内、ありがとうございます。」
なんと、ウサ耳な女性従業員に案内されたのは最上階の部屋だった。
この最上階には部屋が一つしかなく、とても広い部屋となっている。
どのくらいかっていうと、大体30畳ほどの部屋だろうか。
その大きな部屋には6つのベッドが備え付けられていた。
その他にもいろいろな扉がある。
トイレやお風呂だろうか。
キティーニャ村の自宅にはお風呂がなかったから毎日シャワーだった。
ここでお風呂に入れるとしたらとても嬉しいものである。
さて、マーニャたちはどこにいるのだろう。
私は、部屋の中に視線を巡らせる。
33
お気に入りに追加
2,573
あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる