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二章

2ー49

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王都まで、てっきりマリアも来てくれるものだと思ったのに、スキルのせいで王都には行けないという。
どうしよう。
私、一人で王都まで行って帰ってくるなんてできるかなぁ。迷子になりそうで怖いなぁ。

「…どうしても、ダメ?」

「うん。無理だわ。それに王都じゃあ私、使い物にならないわよ。たぶん動けなくなるわ。聴覚スキルも考えものよねぇ。」

そう言ってマリアは憂うつそうに告げた。マリアの持つ聴覚スキルは便利な反面、王都などの人が多いところでは、色んな声が聞こえてきてしまって辛いそうだ。
特に王都は悪意を持っている人が多くいるので、他人が放つマイナス発言で、気分が悪くなって動けなくなるらしい。
さすがにそんな状態になってしまうマリアを王都まで引っ張っていくことは出来ないし、強制するわけにもいかない。

「でも、私、一人で王都まで行ってこれるか………。」

不安が口に出てしまう。
いいおとなだけどさ、一人で王都まで行けないのかって思われるかもしれないけどさ、まだ異世界に来てから数週間しか経っていないんだよ。
こっちの世界の常識が身に付いていないんだよ。
そんな状態で王都に行ったらいく先々で騙されてしまうのが目に見えている。
うぅーん。王都に行くのはもっとこの世界に慣れてからにしようかなぁ。

「大丈夫よ、マユ。ザックがそのうち帰ってくるわ。そうしたらザックに一緒に王都に連れて行ってもらうといいわよ。」

「え?ザックさん?」

そう言えば雑貨屋のザックさんにはまだ会ったことがなかったなぁ。
王都まで仕入れに行っているとかで、妹のアンナちゃんが店番をしていたんだっけ。
でもでも、王都から帰ってきてまたすぐに王都に一緒に行ってもらうなんて出来ないよ。アンナちゃんに悪いし。

「うん。王都にちょくちょく仕入れに行っているのよ。そろそろ帰ってくると思うの。帰ってきてから一週間くらい経ったらまた王都に仕入れに行くと思うから一緒に王都に行くといいわ。」

「あ、うん。」

って頷いたけど、ザックさんには会ったことがないんだよなぁ。
一緒に王都まで行くんだったら、話が合う人がいいなぁ。
話が合わないと王都まで気まずいし。
まあ、連れて行ってくれるのであれば我慢も必要だけど。

「でも、勝手に決めちゃっていいのかな?」

「いいのいいの。ザックは私の言うことだったら断らないから大丈夫よ。」

笑いながらマリアが言うが、それってザックさんがマリアに惚れてるからじゃあ………。
なんだか、ザックさんが不憫に思えてくる。

「ザックには私から行っておくわ。明日にでもアンナちゃんにザックがいつ帰ってくるか聞いてみるわね。」

「う、うん。よろしくね。」

ザックさんいい人だったらいいなぁ。

あれ?王都まで行くとなると一週間は家を空けなくてはならない。
マーニャたちどうしようかしら。
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