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二章
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しおりを挟む「あのっ…醤油ってこの世界だと、そんなに貴重なんですか?」
あまりにもユキさんが、醤油味の化粧水に食い付くので思わずきいてしまった。
マリアも隣でキョトンとしている。
そんな私たちの様子を見て、ユキさんは慌てて両手を振って否定をする。
「あっ。違うんです。私、鑑定スキルを持っていて、この化粧水の効果が素晴らしくて、どうしても欲しくなってしまったの。お金ならいくらでも払うわ。だから、お願いマユさん。この化粧水を全部私に買い取らせてくれませんか?」
「えっ!?」
「ユキさんは鑑定スキルの保持者なんですか?」
あら、マリアもユキさんが確認スキルを持っているなんて知らなかったようだ。
マリアでも知らないことがあるんだ、と感心してしまった。
でも、この化粧水の効果まで鑑定出来るなんて相当スキルレベルが高いようだ。
「この化粧水はとてもすごいわ。私の長年の夢が叶う素敵な化粧水よ。」
ユキさんはそう言ってにこにこ笑っている。
ユキさんの長年の夢ってなんなんだろう?
でも、ユキさんは化粧水の効果を教えてくれる気はないようだ。
肝心の効果がなんなのかってことをなかなか教えてくれない。
「全部私に売ってくれるのなら、効果を教えますね。」
そう言って朗らかに笑っている。
化粧水の効果を知りたい。
でも、効果を知るためには全ての化粧水をユキさんに差し出さなければならない。
まあ、お金は貰えるようだけど。
「うぅーん。まあ、いいですよ。ユキさんの琴線に触れる効果だったんですね。プーちゃんもたまには役に立つなぁ。」
「ありがとう。マユさん。これ9本全部で100万ニャールドでいいかしら?」
「えっ!!」
「んん??」
一本10万ニャールド以上!?
そんなにこの化粧水の効果はすごいのだろうか。まあ、プーちゃんの魔力が込められているからなのだろうけど。
それにしても、思いもしなかった高額で驚きを隠せない。
「あら?安すぎたかしら?では、200万ニャールドでどうかしら?」
「いやいやいや。そんなにいただけませんって!」
ユキさんは更に値段をつり上げてくる。
でも、正直そんなに貰えない。むしろ、100万ニャールドでも高いと思うくらいだ。
元手はただ同然なんだし。
「ふふっ。まあいいわ。じゃあ200万ニャールドでいいわね。」
「…はい。」
ユキさんは満面の笑みを浮かべている。
有無を言わせないその雰囲気に頷く他なかった。
「ずっと、こんな効果を持ったものが欲しかったの。ありがとう、マユさん。作ってくれてありがとう。」
ユキさんは涙を流しながら、化粧水を抱き締めていた。
ステータスを確認すると、ちょうど所持金が200万ニャールド増えていた。
ビックリするくらいの大金だ。
この大金があれば、王都まで行ける。
50年前にこの世界に来たという迷い人のマコトさんに会いにいける。
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