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二章

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『ちょっっ~と待つのだぁぁあああ!!!』

「きゃあ!」

「えぇっ!?」

錬金釜の蓋を開けようとしたら、突然プーちゃんが飛び込んできた。
文字通り飛び込んできた。
錬金工房の窓から、飛び込んで来て錬金釜の蓋に右前足をペタッとついた。
途端に目を開けていられないほどの眩しい光が辺りを包む。

「えええっ!!」

どうやら、錬金釜にプーちゃんの魔力が反応したようだ。
なんかもう、錬金釜開けたくないなぁ。
プーちゃんの魔力が込められた化粧水ってなによ。
これって、マーニャたちの魔力がこめられた化粧水よりまずいような気がするんだけど。

「えっと…。ソフィアさんには悪いけど、錬金釜ごと廃棄でいいかな?」

「マユ、弁償金払えるの?」

「ぐっ………。」

収入がないから、錬金釜の弁償金は払えない。となると、やっぱり錬金釜ごと廃棄するのは無理そうだ。
嫌だなぁ。この錬金釜開けたくないよ。
ってか、プーちゃんなんでここにいるの?

「プーちゃん、お留守番をお願いしたはずじゃなかったっけ??」

『うむ。だがな、マーニャ様がマユの魔力が込められた化粧水に魔力を込めて来いって追い出されたのだ!』

「をいっ!!」

どこに、猫に追い出される竜がいるというのだ。しかも、プーちゃん威張ってるし。
なぜ、追い出されて威張れるのだろうか。

「マーニャ様ったら、仕方ないですね。でも、この化粧水はきっと売り物にはならないわね。」

「そうだね………。」

竜の魔力が込められた化粧水なんて、オークションに出すとこもままならないだろう。
きっとヘンテコな効果が出るはずだし。

『さあ!早く我が手を貸した化粧水の出来を確認するのだ、マユ!』

威張ってるけど、小さい姿のままだから迫力が皆無だ。

「はいはい。」と、頷きながら錬金釜の蓋を開ける。
中には10個の化粧水が入っていた。どうやら、10個出来たようである。
1つ手に取って錬金釜から取り出してみる。
見た目は…。

「黒い………。」

「黒いわね………。」

化粧水って色をしていないんだけど、コレ。黒くて肌につけるのを躊躇うこと必至である。
プーちゃんの魔力が込められていなくても、こんな色の化粧水は買い手がつかないだろう。

『これが我の魔力が込められた化粧水か。うむ。なかなかにいい色をしている。して、マユ、これは飲めるのだな?』

「えっ?たぶん。美味しくなぁれって思いを込めたから飲めると思うけど。でも、鑑定してみるから、待ってて………。」

プーちゃんの手に握られた化粧水。
飲む前に鑑定してからじゃないと飲めるかわからないので、止めたんだけど、プーちゃんはそれよりも早く口に含んでしまった。
そして………。

『………ぐっ!!ぐはぁーーーーっ!!』

苦悶の表情を浮かべてプーちゃんは倒れこんでしまった。
あれ?
今度の化粧水は飲めなかったのかな?

「飲める化粧水じゃなかったのかな?」

「うぅーん?プーちゃんの魔力と反応して飲めなくなった??」

「鑑定してみたら?マユ?」

「うん。」

プーちゃんは時々ピクピクと手足が動いているが、意識を飛ばしているようで反応がない。
いったいこの化粧水は、何!?
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