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二章
2ー30
しおりを挟むゴクゴクゴクっとメロンソーダ味の化粧水を一気のみしたプーちゃんは、直後に動きを止めた。
『・・・くっ。』
そうして、苦しげな声をあげて何かに耐えている。それから数秒後・・・。
『・・・・・・・・・げふっ。』
大きなゲップをした。
そうだよね。炭酸を一気飲みしたんだもんね。竜も人間と同じだったんだなぁ。
「プーちゃん・・・?」
大きなゲップをしたプーちゃんはそのままの姿で固まっていた。
プーちゃんもマーニャたちと同じでショックが大きかったのだろうか。
心配そうに、プーちゃんの顔を覗き込む。
すると、キラキラと輝く瞳と目があった。
「あれ?」
『きゅーーーーっ!!!』
突如、プーちゃんが甲高い声をあげて鳴いた。
「きゃっ。」
驚いて 思わず尻餅をついてしまった。マリアも村長さんもプーちゃんの声に驚いたのか、両手で耳を塞いでしゃがみこんでいる。マーニャたちはあれだけ走り回っていたのに、ピタッと動きを止めた。
ぷるぷるぷると震えるプーちゃん。今度はどんな大きな声をだすのだろうか、と身構える。
『我の腹の中で爆発がおこったのだーーーっ!なんなのだこれは!?』
大声でプーちゃんが叫ぶ。うるさい。
爆発だなんて大袈裟な。
『このようなものがあるなんて、なんて恐ろしいのだ。でも、この喉ごしに、この甘さ・・・なんとも・・・なんとも!!癖になるのだっ!!』
おっと。プーちゃんは化粧水(メロンソーダ味)を気に入ったようだ。
ただ、大声で叫ばないでほしい。とてもうるさい。先程からオークションの中継が聞こえないくらいにうるさい。
そろそろそんなに大きな声を出しているとマーニャあたりが何か行動を起こしそうなものだ。チラッとマーニャの姿を視界にいれる。
あれ?先程と違う体勢をしている。
なんだか、腰を低く落としてジィーーーッとプーちゃんを見つめている。
それから、腰を高くあげ、一気にプーちゃんに駆け寄った。
『ピギャーーーっ!!』
マーニャはプーちゃんに飛び付いた。爪を立てながら。
痛かったのだろう。
プーちゃんからは悲鳴があがる。そうして、
『痛いっ!!痛いのだっ!!ぎゃーーーっ!!』
クーニャとボーニャもマーニャの後に続けとばかりに、プーちゃんに飛び付いている。
こちらもやっぱり爪を立てているようで、プーちゃんが悲鳴をあげている。
プーちゃんの悲鳴、うるさい。
猫は大きな音が嫌いだと聞いたことがある。まさに大きな声をあげてしまったプーちゃんはマーニャたちに嫌がられたのだろう。
そして、嫌な大きな声を出したプーちゃんに復讐している・・・のだと思う、たぶん。
「ちがうわ。マユ・・・。あれはね・・・。」
「違うの?」
大きな声をあげたことにマーニャたちが怒っているのではないのだろうか?
でも、マリアは否定してきた。
いったい、なんだというのか。
「あれはね。自分達が飲めなかった化粧水を、プーちゃんが美味しそうに飲んだことが原因だわ。」
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