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二章

2ー13

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なんでプーちゃんってば、この場所がわかったのだろうか。
プーちゃんには一言も言わずに出てきたのに。そう言えば、マーニャもなぜここがわかったのだろうか。

『マユ殿、マーニャ様に何をしたのだ。マーニャ様がマユ殿がいじめるから助けて欲しいと伝えてきたのだ。』

プーちゃんは私に抱きついたまま頭の中に直接伝えてきた。抱きついて言うことではないだろうに。

「マーニャがネズミのおもちゃを抱き締めて寝ちゃったからネズミのおもちゃを取ろうとしただけだよ。」

マーニャったら、よっぽどネズミのおもちゃが取られちゃうのが嫌だったようだ。プーちゃんまで呼んでしまうとは。
プーちゃんはそれを聞いて、「ふむ。」と頷いていた。
そうしてから、クネクネと器用に身体をくねらせる。

『マーニャ様に抱き締められるネズミになりたい。』

「えっ、いや、あの。取られたくなくて爪を立ててたから痛いと思うよ?」

プーちゃんって本当にマーニャが好きだよなぁ。マーニャに抱き締められているネズミが羨ましいらしい。

『独占欲!マーニャ様の独占欲!いい!それいい!!我もマーニャ様に爪を立てられたい!ぎゅってぎゅって爪を立てられたい!!痛い?それは本望である!!』

おぉう。
プーちゃんがいつにも増して変態っぽい気がする。
くねくね身体をさらにくねらせている。どうやらマーニャに独占される自分を想像しているようだ。なんだか、プーちゃんの熱量が上がっているような気がする。

「プーちゃん、わかったからそろそろ離して。マーニャたちに早くご飯をあげなきゃ。」

もう夜である。
いつまでも妄想に浸っているプーちゃんに付き合っていたらキリがない。それに、マーニャたちもお腹を空かせているだろう。
すっかりソフィアさんのところに長居をしてしまったし。早く帰ってマーニャたちにご飯をあげなくては。
ペシペシとプーちゃんの横腹を軽く叩いて正気に戻す。
ハッと我に返ったプーちゃんは、

『何っ!?マーニャ様達は腹が減っておるのか!それはいけない!マユ殿早くご飯を用意するのだっ!』

そう言って急に飛び上がった。
私を器用にその腕で抱き締めて。
私はマーニャが落ちないようにしっかりと抱き締めた。

「ちょっ!プーちゃん急に飛ぶのやめて!!心臓に悪いっ!!」

グングンと高度を上げて進んでいくプーちゃん。ソフィアさんの家がどんどんと遠くなっていく。

(ああ、マリアに挨拶する余裕もなかった。)

そのとき、マーニャの手からネズミのおもちゃが落下してしまった。どうやら私に抱かれていたことで安心して手の力を抜いてしまったようだ。

「プーちゃん!!止まって!!」

マーニャが気に入ったおもちゃ。マーニャが起きた時にそれがなくなっていることに気づいたらマーニャは悲しむだろう。早く拾いに行かなくては。

でも、プーちゃんは止まってくれなかった。
どうやら、マーニャたちにご飯を早く食べさせなければという思いでいっぱいで、私の声が聞こえていないらしい。


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