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二章

2ー1

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森に行ってから数日がたった。
森から帰ってきてから不思議と日本にいた時の記憶が薄れているような気がする。
今までは毎日のように日本での生活が頭をよぎったが、ここ数日は日本での生活のことを殆ど思い出せないようになった。
いいえ。日本での生活がやっと過去のものになったような気がした。

森に採取に行ってから数日。
そう、錬金釜に化粧水をセットしてから数日。
念願の化粧水がそろそろできるはず。
私はウキウキしながら、錬金釜の前にたち、蓋に手をあてる。こうすると、錬成が完了しているかどうかがわかるらしい。
完了している場合は、錬金釜が淡く光るらしいのだ。
私が手をあてると、淡く緑色に光った。どうやら出来ているらしい。
私がいざ、蓋を開けようとすると私の手にもふっとした感触が。

「ボーニャ?どうしたの?」

ボーニャが私の手の上に自分の前足をポンッと置いていた。

「にゃあ♪」

ボーニャが可愛く鳴くと、錬金釜が虹色に光を放った。

「え?ボーニャなにしたの!?」

光ったことを確認すると、ボーニャが私の手から可愛い前足を離した。そうして、ダッシュで外に向かって走っていってしまう。

いったいボーニャは何をしたのだろうか。

気になりつつも、錬金釜を開けないことにはわからないと、グッと力を入れて錬金釜の蓋を開ける。
ホワッとした湯気が上がった。
錬金釜の中を覗きこむ。
中には7つの瓶に入った色とりどりの液体が収まっていた。

「え?瓶?しかも7つ??」

おかしい。
この錬金釜は5つまでしか錬成できなかったはず。分量も5つ分しか入れなかったのに。
しかも、瓶に入っているから驚きだ。
瓶の材料なんて入れていないのに、どういうことだろう。
錬金釜は謎がいっぱいだ。
単なる化粧水だけが入っているとだけ思ったのに。
これが、ボーニャのおかげなのだろうか。
そう思いつつ、一つ瓶を取り出してみる。
中には綺麗なピンク色の液体が詰まっていた。
念のため鑑定してみる。

「えっ?」

鑑定結果に思わずビックリしてしまった。だって、

【化粧水(ピーチ味)
肌を整える化粧水。飲むこともできる。ピーチの味がする。】

化粧水が飲めるだなんて知らなかった。しかも、ピーチ味だって。
これってあれかな、私が「美味しくなぁれ」って言ってしまったことが原因だろうか。
残り6つについても鑑定してみるが、やはりどれも飲むことができるようだ。
しかも、味がそれぞれ違う。
マスカット味にリンゴ味、イチゴ味、バナナ味、メロン味、オレンジ味になっていた。
どうして、水と薬草でこんなに味がいろいろできているのだろうか。
不思議で仕方がない。

化粧水を目の前に「う~ん」と悩んでいると、「こんにちは~」というマリアの声が外から聞こえてきた。
どうやらマリアが今日も来てくれたようだ。ちょうどいい、化粧水のこと聞いてみよう。
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