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一章

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三日間、錬金釜に入れておけば化粧水ができるなんて画期的なアイテムね。
でも、この余ってしまった薬草や山の湧き水はどううしようかしら。
思わず面白がっていっぱい採って来てしまったけど、困ったなぁ。
保管庫に入れておこうかしら。

「マユ、保管庫に入れずに転送ボックスで売ってしまうことをお勧めするわ。薬草も山の湧き水もすぐに採ってこれるものだから、限りある保管庫の容量をレア度の低いアイテムでいっぱいにするのはあまりお勧めしないわ」

「あ、そっか。転送ボックスで売ればいいのね」

確かにマリアの言う通りだ。
保管庫には入れられる量に限りがある。薬草や山の湧き水も化粧水を5つも作れば当分は不要だし、資金も心ともないから売ってしまうのもいいだろう。

「どのくらいのお金になるかなぁ」

転送ボックスのドアを開き、中に鞄から取り出した薬草と山の湧き水を入れていく。

ああ、薬草結構大量にあるわ。
ちょっと採りすぎたみたい。

転送ボックスのドアを閉める。
結果を待つまで数秒だった。

『はろ~。またいっぱい薬草いれてくれたわね。数えるの大変だったわ~。薬草99個に山の湧き水30個で12900ニャールドになるわ。どうする?売っちゃう~?』

おおう。
頭の中に声が響いてきた。
って、金の卵鑑定してくれた人かな?
口調が独特なんだよねぇ。
それとも、王都の鑑定士はみんなこんなしゃべり方なのかしら。

「売ります」

『りょ~かい。んじゃ、送金するからちょっと待っててねぇ~。………………ん、送金かんりょ~。毎度ありでした~』

プツッと通信が途切れる。
来るのも突然だけど切れるのも突然だ。

私はステータスを確認する。
確かに金額の欄に12900ニャールド加算されていた。
一日で結構稼げるもんねぇ。
山に採取に行くだけでその日を暮らせるだけの収入は得られるようだ。
毎日山で採取すれば一ヶ月で387000ニャールドになる。
わぁお。日本にいた頃の月収より多いんじゃない?
しかも、この村はほぼ自給自足だし、お金をそんなに使いそうもない。
もしかして、私あっという間にお金持ち!?

「マユ、収入の多さにびっくりしているのはわかったら戻っておいで。顔がニヤけていて気持ち悪いわ」

はっ。ヨダレが出ていた!?
口をそっと拭うと、マリアに向き直った。

「だって、だって一日でこんなに収入があるのよ!なんて素晴らしいの!元いた世界では毎日あくせく働いてやっとこの3分の2程度しか貰えなかったわ。残業しても残業代なんて出なかったし」

「わかったわよ。マユ。でも、山は気まぐれだから、毎回同じだけ採取できるとは限らないわよ?」

「そうなの!?」

毎日同じだけ採取できればウハウハなのになぁ。残念。
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