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一章
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しおりを挟むちなみにマリアと合流できるきっかけとなった小さな滝の水は化粧水のもとになる山の湧き水でした。
私とマリアは持ってきた容器に山の湧き水を思い思いに汲む。
「そろそろ化粧水を作るには足りるんじゃないかしら?」
「そうだね」
山の湧き水を木で出来た入れ物に入れる。不思議なことにこの入れ物は水が漏らないのだ。
しっかり作られている入れ物のようだ。
水を汲んでいると、森に散策に来て疲れたのかマーニャたちが木陰で丸くなって眠っていた。
やっぱり子猫である。
疲れてすぐに眠ってしまうようだ。
3匹で折り重なるように眠っている。
「マーニャ様たちやっぱり疲れて眠ってしまったみたいね」
「ほんとうだ。バスケット持ってきてよかったぁ。って、プーちゃんバスケットにいれたままだった。このままマーニャたちもバスケットに入れちゃっても大丈夫かな?」
マーニャたちが目が覚めたときに、プーちゃんの尻尾を見たらまたじゃれつかないかしら?
「んー、別に大丈夫じゃない?プーちゃんだし」
「そう?」
マリア、意外とプーちゃんには厳しい?
でも、まあ、マーニャたちに構ってもらえるとプーちゃん幸せそうだからいっか。
むしろ、マーニャたちと一緒に寝れて喜ぶかも。
そう思うことにして、バスケットの蓋を開けた。
「あ、プーちゃん起きてたんだ」
バスケットを開けると爬虫類独特の目と視線があった。
どうやらずっとバスケットに入れっぱなしだったので、目が覚めていたが出るに出れない状態だったらしい。
声、出せばいいのに……。
『ふむ。よく寝た』
「プーちゃん、マーニャたちが寝ちゃったの。バスケットにマーニャたちをいれるから、プーちゃん起きているんだったら出てくれない?」
マーニャたちにかじられるといけないから……。って言おうとしたら、プーちゃんバタッとバスケットの中に横になってしまった。
あれ?今、プーちゃん起きていたはずなのに。
「プーちゃん?プーちゃん起きて?」
ツンツンとプーちゃんの頬をつついて呼び掛けてみるが起きない。
それどころか「ぐーぐー」という寝息まで聞こえてきた。
プーちゃん、また寝ちゃったの?
「マユ、プーちゃんは放っておきなさい。マーニャ様たちをバスケットに寝かせてしまいましょう」
「そう?」
マリアは寝ているプーちゃんに構わずに、マーニャたちを大事そうにバスケットの中に寝かせた。
「にゃあ?」
寝ぼけ眼のマーニャと目があう。
動かしたさいに目覚めたようだ。
「大丈夫だよ。寝てていいよ」
そう言うと、マーニャはすぐに目を閉じた。眠いようだ。
プーちゃんの上に、マーニャたちを寝かせるとバスケットの蓋を閉じた。
「じゃあ、化粧水の材料もそろったし、そろそろ下山しましょう。マーニャ様たちが寝ているから起こさないようにそっと運ばなきゃね」
「そうだね」
私はバスケットを持ち上げた。
子猫といえ、3匹分の体重がかかるのでそれなりの重さがある。
それでも大切な家族だから、大事に運ぶのだ。
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