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一章
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しおりを挟む森に充満している魔力かぁ。
なんだか、異世界っぽいなぁ。
私は薬草を採取すると、鞄の中につっこんだ。
この鞄便利なもので、中で種類ごとに自動的に分類されて仕舞われるようになっている。
この世界の鞄は全てそういう仕組みらしい。
魔道具ってすごい。
誰が最初に考え付いたのだろう。
私は、マリアに教わった薬草をどんどんと採取していく。
「マユ、薬草もうそのくらいにしたら?それだけあれば化粧水5年分は作れるわ」
どうやら、薬草の採取に没頭していたらしい。
この薬草、面白いのは小さい草は全く根が赤くなっていないのだ。
「マリア、小さい薬草ってないの?根が赤い草って皆ある程度大きな草しかないんだけど・・・」
「草が魔力を吸って成長したものが薬草になるからね。その小さい草はまだ魔力が充満していないのよ」
「へぇー。じゃあ、もしかして家に生えている草をここに植えたら薬草になるの?」
「ええ。薬草になるわ」
おお。やっぱりこの場所の魔力が草を薬草にしているのか。
「花を植えたらどうなるの?」
「うーん。花を森に植えた人の話は聞かないわねぇ。どうなるんだろう」
マリアは考えこみながら告げた。
どうやら花で実験してみた人はいないらしい。
暇だし、試してみようかなぁ。
って、種持ってなかった。
「今度、種を買ったら森に植えてみてもいいかな?」
「ええ。もちろん。今度種を持ってきて植えてみましょう」
そういうことになった。
薬草もそれなりに採取したし、後は山の湧き水があれば化粧水が作れる。
でも、マーニャたちがまだ来ないから、ここから動けないなぁ。
「マーニャたちなかなか来ないね」
「そうね。そろそろ山の湧き水を汲みに行かなければ帰る頃には日が暮れてしまうわ」
「ちょっと私、探してくるね」
マーニャたちが心配で私は駆け出した。
「ちょっと待って!マユ!!」というマリアの制止の声には気づかなかった。
ただ、なかなか帰ってこないマーニャとクーニャとボーニャが心配で森の道を外れて探す。
だって、猫だもの。
猫に整備された道は関係ない。
でも、これが良くなかった。
よく知りもしない森の中。
方向感覚だって、この世界に来たばかりだから分からない。
それになにより、自分が方向音痴だってことなどすっかり忘れていた。
でも、後悔してももう遅かった。
気づいた時には
「ここ、どこ・・・?」
既に迷子になっていたのだった。
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