婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

葉柚

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一章

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足を踏み入れた森は人の手が入っていてとても歩きやすい森だった。
道は整備されていて、人二人が並んで歩けるだけの広さがある。
木の枝は道にかかることなく、道には草も生えていない。

森の木々は、朝露を受けてキラキラと光輝いている。

「綺麗な森ね・・・」

「そうね、ここは採取の場でもあるけど、もう少し上ると見晴らしのいい場所もあるし、湖もあるから散策するのにももってこいなのよ。たまに、デートしている人もいるよ?」

「へぇー。森でデートするんだぁ」

「景色がいいからね。ダンさんからサラさんのプロポーズはこの森のどこかだって噂よ」

「そうなんだ」

ダンさんも、プロポーズの場所にはこだわっていたのか。熊さんに似ているから森の中だったのかな?
「イヤリング落としましたよ?お嬢さん」なんて言ってサラさんに声をかけたのかしら。

「でも、はっきりとした場所はサラさん絶対に教えてくれないんだよねぇ」

「そっか。二人だけの秘密にしたいのかな」

「そうかもしれないわね」

他愛ない話をしながら、周囲を見回す。
すると、マーニャたちがいないことに気づいた。
さっきまで、後ろをついて歩いてきていたのに。
森に着いた時に、私がマリアの横に並んだからマーニャたちより前に来ちゃっていた。
あのまま、マーニャたちの後ろにいればよかった。

「マーニャたちがいないっ!探さなきゃ!」

「あ、待ってマユ!マーニャ様たちは大丈夫よ」

「でも!」

「大丈夫よ、心配ならここで待っていましょう。ここにも採取できるものあるし」
マリアはそう言って、道の端に座り込んだ。
そして、私を呼ぶ。

「マユ、これが化粧品の材料の薬草よ」

マリアは道端に生えていた草だと見間違えそうな植物を指差した。
これといった特徴がないような・・・。

「うちの畑に生えている草とよく似ているんだけど・・・」

「そうね、見た目は間違えやすいわ。でも、よく見て根本が赤くなっているでしょ?」

マリアに言われて薬草をよく見る。
確かに根本がほんのり赤くなっていた。

「ええ、赤くなっているわ」

「これが、目印。薬草のね見た目は実は決まっていないの。薬草と言われているのは、この根本がほんのり赤くなっている草のことなのよ」

「そうなの!?」

「そう。この薬草を根っこごと引き抜いて自分の家に移植するとただの草になっちゃうんだって」

おお、薬草って不思議。

「じゃあ、森の土を持って帰って植えてみたらどうなるんだろう?」

「それでもただの草になってしまうわ。この森の中に充満している魔力が草に影響して薬草にしているのではないかって言われているの」

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