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一章
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しおりを挟むプーちゃんに締付けられて気を失いそうになったその時、どこからか
「にゃぁ~ん!!」
という猫の鳴き声が聞こえてきた。
声のした方を見たくても身体が動かないので見ることもできず。
マーニャの鳴き声なのか、クーニャの鳴き声なのか、ボーニャの鳴き声なのかは判断がつかない。いったい誰が鳴いたの?
「にゃっ!」
「いたっ!!」
プーちゃん?
「痛いではないかっ!!」
「にゃあ~ん!!」
「むっ!」
プーちゃんの拘束が緩くなる。
どうやら猫たちの誰かがプーちゃんに抗議してくれたようだ。
「た、助かった・・・」
プーちゃんから解放されたはいいが、立つことができずに畑に座り込んでしまう。
部屋着が汚れるけど、そんなこと構っていられない。というか、もうすでに汚れてるし。今さらだ。
力の抜けた身体にそれでもできる限りの力を入れてプーちゃんの方を見た。
すると、プーちゃんの尻尾にマーニャがかじりついている。
プーちゃんはマーニャに強くでれないのか、「我が悪かった。かじらないでくれ・・・」と涙目で訴えている。
そっか、マーニャが助けてくれたんだ。
「マーニャ。ありがとう。助かったよ」
身体がしめつけられていたから、痺れてうまく動けない。
助けてくれたマーニャを抱き締めて撫で撫でしたいのに。
「にゃっ!」
マーニャはまるで「気にするな」とばかりに短くなくと、プーちゃんの尻尾から口を放した。
それから、私の方に駆け寄ってきて、「大丈夫?」と言わんばかりに優しくペロリっと私の手の甲を数回舐めた。
「にゃあ?」
「大丈夫だよ。ありがとう、マーニャ」
力の入らない手でマーニャの頭を撫でる。マーニャは嬉しそうに喉を鳴らすと、私の手に頭を擦り付けてきた。
「マユ、すまなかった・・・。我は柄にもなく動転しておった」
「気にしないで、プーちゃん。でも、次からはもうちょっと優しくしてほしいな」
プーちゃんもマーニャに噛まれたことによって正気を取り戻したようだ。
私を締め付けたことに反省しているようだ。
「トマトの件は我の失態だった。今度からはトマトは水を最小限にしぼってみよう」
「うん。お願いね」
「うむ」
ふぅ。プーちゃんも落ち着いたことだし一段落かな。あとは、トマトが水をやりすぎないことで甘さを取り戻してくれるといいけど。
「あれ?そう言えばマーニャ。プーちゃんの前に姿を見せてもいいの?」
マーニャ、プーちゃんのことすごく怒っていたから今すぐにでもプーちゃんをまた追い出すものかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
プーちゃんには目もくれず、私にぴったりとくっついて毛繕いをしている。
「にゃっ」
「・・・マーニャ様。そ、そんなぁ・・・」
「ん?プーちゃん?マーニャは何て言っているの?」
「・・・「姿を見せるななんて言ったっけ?」って言っておる。マーニャ様の言葉を素直に守った我はいったい・・・」
ああ、マーニャったら猫らしいわね。ほんと気まぐれで可愛いわ。
プーちゃん、また沈んじゃったけどもう知らない。
というか、プーちゃん竜なのにメンタル弱すぎて大丈夫なのかしら?よく、こんなメンタルでダンジョンの10階層のボスなんてやってたよなぁ。
なぁんて思っていると、「マユー!準備できたー?」という元気な声が聞こえてきた。
あ、今日はマリアと森に採集に行く予定だったんだ・・・。
「マユ?何やってるの?」
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