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一章
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しおりを挟む「そう言えば、マユはまだ鞄持ってなかったんだっけ?」
「うん。こっちの世界に来てからは鞄買っていないわ。元の世界から持ってきた鞄はあるけど・・・」
「私たちの世界の鞄は、すべて魔道具なの。魔道具じゃない鞄なんて作ったって売れないからねぇ」
マリアはふむふむと頷いている。
おや?
この流れはこれから私、鞄を買いに行けるのかしら・・・?
「鞄、買いに行きましょうか。森に行くには鞄がないと採集したもの持ってくるの大変だしね。鞄がひとつあればとても便利よ」
「やったっ!」
って、手持ちの資金で買えるのかなぁ。
もう当初に貰った資金だいぶ使っちゃっているような気がするんだけど・・・。
私は自分のステータスを確認した。
「げっ・・・」
やっぱり、使い込んでいる。
なんだかんだで、いろいろ購入したりしていたし、外食ばかりだったし。プーちゃんは大食漢(?)だったし・・・。
「どうしたの、マユ?」
不思議そうな顔をして訪ねてくるマリア。
「いや、そろそろ資金が心許なくなってきたなぁと思いまして・・・」
この世界に来てからまだ一回もお金を稼ぐという行為をしていなかった。
使うだけ使ってしまっている。
早急にお金を稼ぐ術を見つけないと生活ができなくなってしまう・・・。
まあ、お金がなくとも電気・ガス・水道が止まるわけではないが。
電気もガスも魔力だし、水はタダだ。
森に行けばどうやら食材を入手することも可能らしいし、とりあえず生活はなんとかできそうだ。
だが、やはりお金というものは無いよりもあった方がいいだろう。
外食だってできないし、欲しいものがあっても買うことができないし。
「ああ、マユってばまだ収入がないものね。とりあえず転送ボックスに何か入れれば買い取ってくれるよ?」
「そうなんだけど・・・何を入れたらいいのやら」
「なんでも大丈夫。草だって石ころだって買い取ってくれるから。子供のお小遣いにも満たないかもしれないけれど」
「うう~ん」
「まあ、どうしてもお金がないってなったら、マーニャ様たちがプレゼントしてくれたものを売るとか?」
マリアの言葉にギョッと目を見開く。
マーニャたちから貰ったプレゼントを売る?
それは考えたことがなかった。
というか折角プレゼントしてくれたものだから、手放したくはなかった。
手放すとしてもプレゼントしてくれた物で何かを作ってから売りたい。
例えば上級ポーションとか。
ちょうど材料が揃っているってことはきっと、クーニャとボーニャは私に上級ポーションを作ってほしいと思っているのだろう。・・・偶然かもしれないけど。
「ごめん、マリア。マーニャ様たちがくれたものは有効活用したいんだ」
「そうね。その方が猫様たちも喜ぶわ。じゃあまずは明日森に採取にいって、売れそうなものを採ってこよう。あとは化粧水の材料とか。それにはやっぱり鞄ね」
「そうだね・・・。鞄っていくらするの?」
あんまり高くないといいんだけど。
この残りの資金で買えるものだとありがたい。
でも、魔道具だからやっぱり高いのかな?
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