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一章

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「鑑定スキルのレベルが足りないかぁ・・・。せっかくボーニャが見つけてくれたのにね」

ボーニャを撫で撫でしながら呟く。

「マユ、ゆっくりレベルを上げていけばいいだけよ。毎日いろんなものを鑑定していればすぐにレベルが上がるわ。調理スキルのように」

マリアはそう言って、私の背中をポンポンと軽く叩いた。
でも、この金色の卵気になるんだよなぁ。

「そう言えば本物の鶏の卵はどうしたのかしら?」

「あっ、そう言えば見てない」

マリアに言われて気づく。そう言えばまだ今日は卵を採っていないということに。
ボーニャを撫でていた手を離し、鶏小屋の中をくまなく探していく。
マリアも、もちろん手伝ってくれているし、マーニャたちもあちこちガサゴソしている。
しかし、卵は見つからない。

「ないねぇ。今日は産まなかったのかな?それとも、この金色の卵を産んだのかしら」

「あっ!ちょっと待って!」

マリアはそう言って黙りこんでしまった。いったい何を思い付いたのだろうか。
マリアが、固まったまま動かなくなってしばらくしてから、「はぁ・・・」というため息が聞こえてきた。

「どうしたの?」

ため息をついたマリアを見て訪ねる。
なにか、わかったのかしら?

「んー。鶏さんに聞いてみたのよ。今日は卵産まなかったの?って、そしたら産んだって」

「どこに?」

そっか、マリアは動物と意志疎通がとれるってこと忘れてた。必死に探さなくても最初から聞けばよかったんだ。

「それがね、小屋の隅に産んだって。で、しばらくしたら誰かが来て、金色の卵と交換していったんだって」

「えっ!?誰が来たっていうの!?」

「鶏さんにはわからないそうよ」

この場所は私有地だし。無断で入ってきて卵を交換していくってどういうことかしら?
確かに、家には鍵がついているけど、畑に鍵はつけてないけど。

「でも、一つ言えるのは人間じゃないってことね」

「えっ?」

人間じゃないってどういうこと!?
ってか、マリアなんでそんなことが分かるの!?

「この家は猫様の加護がかけられているわ。だから卵を盗むような悪意を持った人間は主の許可なく入ることは出来ないはずなの。入れたとしても、勝手に物を持っていくことは出来ないわ」

「へー」

「だから、人間業じゃあなさそうって思ってね」

金色の卵を指でツンツンしながらマリアの言葉を聞く。
いったい人間じゃなかったら、何が来たっていうの?
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