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一章
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しおりを挟むマリアがマーニャたちの説得を試みたが、あまり効果がなかったようだ。
仕方ない。
私も説得に加わるか。
「マーニャ、クーニャ。プーちゃんがいれば水やりがとても楽になるわ。でもマーニャとクーニャがしばらくプーちゃんに会いたくないってことなら、毎日水をやってもらってからすぐに帰ってもらうってのはどうかしら?」
『マユ!お主も帰れと申すのかっ!?』
あ、プーちゃん泣きそう。
丸い目にうっすらと涙の膜ができている。
「マーニャたちが許してくれるまでよ。マーニャたちが許してくれたら一緒に暮らしましょう、それにトマトは好きなときに来て食べていいわよ」
『ほんとうかっ!?では、我は帰る!明日また来るからなっ!?』
トマトが食べれればいいのか、この竜は。
マーニャたちを見ると今の言葉にまた怒ってしまったようだ。
尻尾を逆立てて「フーッ」と威嚇している。
そうだよね。
トマトに釣られるなんてね。
これはしばらくマーニャたちはご立腹かな?
なんて思いながら、プーちゃんの方をみるとソワソワしながら、空に向かって吠えるとみるみるその身体が空に浮き出した。
そして、光のシャワーが降り注ぎ眩しくて目を瞑る。
光が収まったころに目を開けると、もうすでにプーちゃんの姿はなかった。
人騒がせな竜だったなぁ。
プーちゃんが帰っていったであろうダンジョンの方角を見つめる。
「帰っちゃったわね」
「そうね。マーニャ、クーニャ、ボーニャ、プーちゃん帰っちゃったけどこれでいいのかな?」
「「「にゃあん」」」
「ふふふ。これで良いって言っているわ。プーちゃんには少し頭を冷やしてほしいって。でも、トマトに負けたのは悔しいみたいよ。当分は口も聞いてあげないし側にもよらないって言っているわ」
「そう」
私は、マーニャたちの頭を順番に撫でた。
雨で濡れていたマーニャたちの毛はすっかりと乾いており元のさらさらでつやつやの毛に戻っていた。
しばらくそのシルクのような手触りを満喫する。
マーニャたちも撫でられることが嬉しいのか、手にすり寄ってきてとても可愛い。
まったく。この可愛いマーニャたちを愛でられないなんて、プーちゃん可愛そうかもしれない。
でも、自業自得な面もあるからしょうがないか。
今日の水やりも収穫も終わったので、私たちはマーニャたちを引き連れて鶏小屋に向かった。
今日は卵あるかな?
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