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一章
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しおりを挟む朝食が終わると、マリアとプーちゃんと畑に向かった。
畑の野菜や花に水をやる。
いままでリュリュさんから購入したジョウロで水をあげていたのだが・・・。
『ふむ。マユ、重そうだな?そのヘンテコな入れ物を何に使うのだ?』
「作物に水をやるんです。作物に水をやらないと枯れてしまいます」
『ふぅーん』
プーちゃんは私の持っているジョウロに興味を持ったようだ。
ジョウロに水を汲むところから、作物に水をやるところまでずっとジョウロから目を離さなかった。
『大変そうだな』
「そうよ、結構重労働なのよね」
マリアは、プーちゃんのそばでトマトを収穫しながらプーちゃんと会話している。
ジョウロ一つしかないからマリアにはトマトの収穫をお願いしている。
『水をやるとその赤い実ができるのか?』
プーちゃんはマリアの手の中のトマトを凝視している。
マリアが真っ赤に熟したトマトをプーちゃんに差し出す。
「食べてみる?これは生で食べられるのよ?」
『いただこう』
プーちゃんはトマトに興味があったようだ。
マリアの手からひょいっとトマトを受けとると、口に入れて租借している。
プルプルと身体を震わせているプーちゃん。
お気に召さなかったのかしら?
と、思ったのもつかの間。
『・・・美味であるっ!!この甘味!この瑞々しい水分!!この果肉!!そして、みなぎる我の魔力!!こんな素晴らしい果実があったとはっ!!』
「トマトは野菜だよ」
プーちゃんはトマトにとても感動していたみたいだ。
マリアが収穫したトマトをガツガツと貪っている。
ああ、トマト全部食べられちゃいそう・・・。
みるみる無くなっていく熟したトマト。
私も食べたいなぁなんて思いながら見つめてみるが、プーちゃんは食べることを止めない。
結局最後の一個まで食べきってしまった。
『・・・もうないのか?』
「今日の分はね。明日になればまた収穫できるよ」
『そうか』
プーちゃんはしばらく考えこんだあと、不意に空を見上げた。
と、思うと急に辺りが暗くなっていく。
「「え?」」
私とマリアの声が重なる。
ポツリ。
ポツリ。と、天から水滴が落ちてきて。
ザーーーーッと雨が降りだした。
「「えええええっ!!!!?」」
「「「うにゃぁ~んっ!!」」」
私とマリアは急いで家に入る。
なんで急に雨が?
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