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一章

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食堂に入り、今日のお勧めというメニューを注文する。
お昼時ということもあり、ちらほらとお客がいるようだ。サラさんが、忙しく注文を聞いたり料理を運んでいる。

「マユ、困っていることはない?」

「あ、そうそう。化粧水とかってこの世界にあるのかな?ええと・・・化粧水ってのは、お肌を整えるための液体なんだけど・・・」

今朝気になった化粧水について、マリアに聞いてみる。

「ああ!あるよ!でも、王都じゃないとなかなか手に入らないかも」

「そうなの!?」

化粧水って一般に普及してないんだ。王都でしか売ってないとなると、高価なものなのかなぁ。

「高いの?」

「違うよ。1000ニャールドくらいで買えたりするんだけどね、絶対数が少ないから王都で買い占めにあっちゃってて、なかなか仕入れられないのよ。でも、原価は100ニャールドもないって話よ?」

原価100ニャールドで、販売価額が1000ニャールド!?ぼったくり!?
でも、絶対数が少ないっとことは付加価値があるからなのかなぁ。

「絶対数が少ないって、作るのに誰かの許可がいるからとか?」

「ううん。スキルがないと作れないんだけどね。スキル持ちがあんまりいないの。だから、絶対数が少なくなってしまうの。」

ここでも、スキルか。

「美容薬調合ってスキルなんだけどね・・・」

「どのくらいスキル持ちがいるの?」

「レコンティーニ王国では100人いるかいないかよ。ねぇマユ、化粧水作ってみる?スキルがなくても作れることは作れるの。でも、効果があまり出ないのが難点。でも、つけないよりはつけた方が多少は違うって感じかなぁ」

自分で作れるんなら作ってみようかな。
効果があまりなくても、気休めでもお肌の曲がり角をとうに過ぎた私には、とても欲しい一品だ。

「作ってみるわ。何が必要なの?」

「基本的には山の湧水と薬草よ。美容薬調合スキルを持っている人はそこに魔力を込めたり、自分なりの秘伝のレシピがあったりするみたいよ?」

山の湧水と薬草か・・・。
どこに行けば手に入るのかな?

「材料集めるなら手伝うよ?あそこに見える山で全て揃えられるから」

そう言ってマリアは、近くの山を指差した。
30分も歩けばいけるだろう距離だ。
でも、今から行くのは遅いかな?

「もし、お嬢様方、ピンクの卵を持っていないかい?」

突如、話に割り込んでくる人がいた。
ピンクの卵?なにそれ?
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