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一章
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しおりを挟む「う~ん。むにゃ・・・」
額に当たる、ぷにっとした感触。
頭をテシテシと叩く、柔らかくふわふわな感触。
頬をザラッとした何かが触れる感触。
寝ぼけている私になんとも優しい目覚めの時間がやってきた。
目をゆっくりと開くと、三つのまあるい目が見えた。
「「「にゃあ」」」
マーニャ、クーニャ、ボーニャである。
「おはよう。寝坊しちゃったかな?」
私が目覚めたことがわかると、すぐに3匹は私の顔や頭からどいた。
ちなみに、額を前足の肉球で触っていたのが、マーニャ。
頭を尻尾で叩いていたのがクーニャ。
頬を舐めていたのがボーニャである。
もうちょっと寝たフリしておけばよかったかも・・・。
目を開けてしまったことを公開する。
もう少し、目を閉じていればこの至福の時間がもっともっと続いたのに。
惜しいことをした。
3匹ともお腹がすいたのか、さっとベッドから飛び降りて餌が保管されている保管庫の前にダッシュで向かう。
走っていっても、私が行かなければご飯あげられないのに・・・。
保管庫の前で鳴いている猫たちの姿を確認して、直に私も立ち上がり保管庫の前に向かった。
台所の時計をチラリと見ると午前8時を差していた。
どうも、寝坊をしたようだ。
異世界に来てから3日目。どうやらぐっすりと眠ってしまっていたようだ。
いつも7時にはマーニャたちにご飯を与えているから、マーニャたちのお腹は空ききっているのだろう。
それぞれ、自分たちがいつも使用している器を口に銜えて私の前に持ってきた。
苦笑しながら保管庫を開け、マーニャたちのご飯を取り出すと器にいれる。
すると「まってましたっ!」とばかりに、マーニャたちはがっつき始めた。
そうとうお腹が空いていたようだ。
「寝坊して、ごめんね」
しばらくマーニャたちがご飯を食べている姿を微笑ましく見つめていたが、「ぐぅ~」という音が私のお腹からも聞こえてきた。
「私も朝ごはんにしよう」
朝食は、昨日アンおばさんに貰ったパンと、マリアと一緒に作ったスープの残りだ。
まずは、スープの入った小なべをコンロにおいて、指をふってコンロに火を点ける。
昨日さんざん、マリアと練習したから火力調整もなんとかできるようになった。
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