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しおりを挟む「ブチ様。ご安心ください。私はブチ様を綺麗にして差し上げるだけです。けっっしてよこしまな気持ちでブチ様に触れるわけではありませんわ。だから、ブチ様を洗わせてくださいませ。」
私は目をキラキラとさせながらブチ様にお願いする。
ただでさえ猫様たちは濡れることを極端に嫌うのだ。ブチ様の機嫌を損ねないためにも私はブチ様にお願いするしかない。
「お手々洗わないと泥がついて気持ち悪いでしょう?毛並みだって埃がついていては嫌でしょう?私がブチ様を綺麗にして差し上げます。大丈夫です。ブチ様には洗うという行為以外では触れることはありません。あんなとこから、こんなとこまでブチ様の全てを私が綺麗にして差し上げますわっ!」
ブチ様のあんなところやこんなところを綺麗に洗うことを想像して思わず口の端からヨダレがこぼれ落ちてきそうになる。
いけない私は侯爵令嬢なのに。そんなはしたないこと……。
ブチ様は私が懇願しているのにもかかわらず、なんだか目にうっすらと涙を浮かべているような気がする。私はけっしてよこしまな気持ちでブチ様に触れるわけではないのに。
「ブチ様。ユリアさんからもブチ様を綺麗に洗うように言われております。ね?私がブチ様を綺麗にして差し上げますわ。大丈夫ですわ。私、猫様たちを洗うのとっても慣れております。私に任せていただいて間違いはありませんわ。」
ブチ様はジッと私を見つめているが、まったく動く気配がない。
まあ、ユリアさんの魔法がかけられているから動けないんだろうけど。
私はブチ様を抱き上げてシャワールームに向かった。
濡れてもいいように私は衣服を脱ぎ去る。
「さあ。ブチ様、行きましょうね。」
私はにっこり笑ってブチ様を見る。
「あ……。ブチ様……。大丈夫ですかっ!気をしっかり!!そんなに私のことがお嫌だったのですかっ!!」
ブチ様はなぜか白目を剥いて気を失っていた。
私はブチ様が気を失ってしまったことに慌てて思わず悲鳴を上げてしまった。
「マリアちゃん。どうしたの!ブチになにかされた?」
私の声を聞きつけてユリアさんが駆けつけてきた。
「い、いえ……。ブチ様、私のことが相当嫌だったらしくて……気を失ってしまいました。」
私はがっくりと肩を落としてユリアさんに答える。
「あら……まあ。ブチったら純情なのね。マリアちゃんの裸を見たくらいで……。」
ユリアさんは深いため息をついた。
『ブーッブーッブーッ!!』
突如としてけたたましい音が鳴り響く。
私は気を失ってしまったブチ様を抱き上げながらユリアさんと目を合わせた。
ユリアさんは険しい表情をして頷いた。
「……侵入者ね。まさかこの保護猫施設に侵入者が入るとは。」
「ええ。猫様たちの無事を確かめないと……。」
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