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「ナーガ様。申し訳ございません。第一王子が猫の姿になっていることをアマリアちゃんにお伝えしてしまいました。アンナライラが保護猫施設に乗り込んできて私も気が立っていたようです。つい、思わず……。大変申し訳ございません。」

 真夜中に保護猫施設にナーガが立ち寄った際、ユリアから本日の保護猫施設の状況報告を受けた。

 ナーガはユリアの言葉に「ふぅ。」と深いため息をついた。

「わざとでしょ。絶対わざとだわ。ユリアがそんなへまをするはずがないもの。いくらアンナライラが来たからってユリアがそんなへまをすることはまずないわ。」

 ナーガは豊かな髪を靡かせてユリアをジトッと見つめる。
 
 ユリアは小さく舌を出した。
 
「まあ。やっぱりナーガ様に嘘はつけませんね。そろそろアマリアちゃんに教えても良いかと思いまして。お伝えいたしましたわ。」

「そう……。それで?どの猫が第一王子だかは伝えたのかしら?」

「いいえ。伝えておりませんわ。そこはアマリアちゃんに当ててほしくて。」

 ナーガの問いかけにユリアはにっこりと笑いながら答える。
 
「まったく、ユリアは……。」

「うふふ。だって、第一王子殿下を元の姿に戻すためには、アマリアちゃんの協力が必要でしょう?アマリアちゃん自身が気づかなければ王子殿下は元の姿に戻れませんわ。」

「はあ……。まったく、ユリアはそこまで計算しているのね。ということは、やっぱり王子が元の姿に戻れなかったのは貴女の所為ね。魔法が失敗したのではなくて、貴女がわざとアマリアちゃんじゃないと魔法が解けないようにした。そういうことでしょう?」

「うふふ。間違えちゃったのよ。」

 ナーガの問いかけにユリアは笑いながら答えた。
 
 ナーガは大きなため息をついた。
 
「まあ、いいわ。あの子が元の姿に戻って王位を継承してくれるのならそれで構わない。それにしても、アンナライラの効果は抜群ね。アンナライラに傾倒するユースフェリアの姿に、ユースフェリア側の重役たちの支持がみるみる落ちていっているわ。あの女狐の悔しそうな顔ったらとても愉快だったわ。」

「うふふ。ユースフェリア殿下の失脚とともに、隠されていたシルキー殿下が登場する。シルキー殿下の初舞台ですわね。」

「そうね。あの子たちには頑張ってもらわないと。」

 ユリアとナーガは顔を見合わせて微笑みあった。


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