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しおりを挟む私はアマリア。アマリア・オフィーリエ。オフィーリエ侯爵家の令嬢である。
婚約者は同い年のユースフェリア王子。
つまり、私は未来の王子妃である。その地位を狙っている女性は多い。アンナライラ様もその一人。
いや、アンナライラ様はそれ以上に質が悪い。
アンナライラ様は失礼ながら男爵家の養女だ。田舎の孤児院を訪れたメンフィス男爵が、孤児院にいるアンナライラ様を見て、一年前に亡くなった自分の娘とそっくりなピンク色の髪を気に入って養女に迎え入れたのだ。
貴族の血が一滴も入っていないアンナライラ様を王家が迎え入れるかと言ったらとても怪しいところである。
ですが、なぜか私の婚約者であるユースフェリア王子はアンナライラ様をこれ以上ないほどに慕っています。ユースフェリア王子のご友人たちも同じようにアンナライラ様をこれ以上ないほどに可愛がり、私をアンナライラ様から遠ざけようとしています。
正直、血筋のことを置いておいても、アンナライラ様は王子妃として相応しくないと思うのですが、彼らにはそれがわからないようです。
私は特にユースフェリア王子の妃になりたいわけでもなく、ただ婚約者として王家から打診され、それを我がオフィーリエ侯爵家が受けたにすぎません。
権力にも興味は全くありません。
だからといって、このままだと私のあずかり知らぬところででっち上げられた罪が増えて行き、そのうち断罪されることが目に見えてわかっているのに、大人しくしているわけにもいかない。
だから、私は決心しました。
侯爵令嬢ではなく、市井で一般市民として暮らそうと。
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