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しおりを挟む「私とロイド様ですわ。」
アリスは大きな目でジッとロイドのことを見つめる。
ロイドはアリスの目を見ながら思考を巡らせる。
ロイドにはアリスとの婚姻を承諾した覚えはないのだ。それどころか、セレスティナがいなくなってから、次の皇太子妃にと誰かをあてがうような話を父親である皇帝陛下から聞いたこともない。
まだ、セレスティナがいなくなってから一週間も経っていないのだ。
「誰がそのようなことを?」
ロイドはアリスの言葉を不審に思い問いかける。
「フォン宰相ですわ。フォン宰相の話ですと、もう私が次の皇太子妃となることは決まっているとか。あとは婚儀の日程を決めるだけとおっしゃっておりましたわ。セレスティナ様が魔族の花嫁になってからまだ日が浅いので私もびっくりしておりますのよ。」
アリスは嬉しそうに頬を赤らめながらロイドに告げる。
伏目がちだが、アリスがとても嬉しそうにしていることをロイドは見て取った。
「……私は皇帝陛下からなにも聞いていない。」
「まあ。でも、フォン宰相が嘘をおっしゃるとは思えませんわ。きっと、皇帝陛下はロイド様に告げる時期を見計らっておいでなのですね。」
「……私の妃はセレスティナだけだ。他の女性を妃に迎えることはない。」
アリスの言葉を打ち砕くように、ロイドは強めに告げた。
「……そうですわよね。ロイド様のお心が今もセレスティナ様にあるのは私も存じております。それでも構いません。婚姻後でもいつかロイド様のお心が私に少しでも傾けば私は満足ですの。」
伏目勝ちに殊勝な発言をするアリス。
「……申し訳ないが、アリス嬢が私の妃になることはない。」
「まあ。でも、皇帝陛下の決定事項にはいくらロイド様でも覆すことはできませんわ。」
「そうだな。皇帝陛下が決定なされたのならな。」
「そうですわ。そして、皇帝陛下は既に私たちの婚姻を認めておいでなのです。」
「……皇帝陛下に婚姻の事実を確認してくる。」
「うふふ。そうしてくださいまし。私、ロイド様との婚姻をとっても楽しみにしておりますわ。」
にっこりとアリスは笑いながら今度こそ去っていくロイドのことを引き留めることなく見送った。
☆☆☆☆☆☆
しばらくぶりの更新ですみません。
これからしばらくは毎日更新予定です(*^^*)
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