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 マリリンさんが悩んでいるのは高額の採取依頼のようだ。

 見つけるのは難しいというけれど、金貨1枚になるなら受けてもいいかもしんない。ただ、サブの依頼として。

「ムニュムニュ草の採取依頼だよぉ。ムニュムニュ草は知っているかしらぁ?」

「えっと、知ってます。実際に見たことはないけど、図鑑で見ました。こう……枝がムニュムニュなんですよね?」

「そうなのぉ。そのムニュムニュ草よ。これ1本見つければ金貨1枚なのよぉ。しかもぉ、2本見つければ金貨2枚、3本見つければ金貨3枚。本数制限はなく、納品した本数分、無限に金額が上がっていくっていう美味しい依頼なのよねぇ。どう?受けてみる?」

 なにそれ。結構おいしい依頼のようだ。

 ムニュムニュ草はこの辺ではなかなか見つけられないが、その生態系から1本見つけると近くに何本もあるのだ。だから、1本でも見つかれば必然的に数本は見つかる。つまり、金貨数枚になるのだ。

 かなり美味しい依頼かもしれない。

「えっと、ギルドの依頼って一度にいくつか受注できるんですか?」

「んー。採取依頼なら一度に2つまでだったら受けられるわよぉ。あとぉ、採取してきてから依頼を受けても大丈夫だよぉ。でもぉ、人気の採取依頼はぁ、先に依頼を受注しておかないと、他の人が受けてなくなっちゃうかもしれないけど、ね。これももし受けるなら、先に依頼を受注しておいた方がいいわよぉ。他にムニュムニュ草を見つけたって人が来たらその人のものになっちゃうから。」

「なるほど……。ちょっとみんなと相談させてください。」

「いいわよぉ。」

 僕はマリリンさんとの会話を打ち切って、ロレインちゃんとミコトに向き合う。僕たちはパーティーなのだから、僕だけでは決めずにみんなの意見を聞く必要がある。

「ムニュムニュ草の採取依頼、どう思う?」

「私は、受けてもいいと思うわ。期限もないというし、もう一つ別の依頼も受けることができるのでしょう?それなら、問題ないんじゃないかしら?」

「アルフレッド、問題ない。シヴァ、ついてく。」

 二人ともこの採取依頼を受けることに問題はないようだ。

 なら、僕の答えも決まっている。

「その採取依頼、受けます。気長に探してみます。」

「そうねぇ。そうするのがいいと思うわぁ。じゃあ、もう一つ採取依頼を受けておいた方がいいわねぇ。ムニュムニュ草はそのついでに探すのが一番だわぁ。」

 マリリンさんはにっこりと笑ってもう一つの依頼を探す。

「うーん。あとはどれもパッとしない依頼ばかりねぇ。簡単なのは、矢車草の採取ねぇ。これは森に行けばだいたいどこにでも生えているから採取は簡単よ。10本1束で依頼料は銅貨3枚。数は3束までで期限は2日後ね。正直これはとっても簡単だと思うけど、金額が3人で受けるには安いわよねぇ。ちょっと難しくなるし釣り竿を買う必要はあるけれどぉ、マルットゲリータフィッシュの納品とかどうかしらぁ?こっちなら1匹納品するだけで銀貨1枚になるわねぇ。釣りの経験はあるかしらぁ?」

 マルットゲリータフィッシュ?聞いたことがない魚だ。この辺ではよく捕れるのだろうか?

「僕は釣りをしたことがあるけれど……。マルットゲリータフィッシュってこの辺でよく捕れるんですか?」

「私は釣りの経験はないし、釣り竿も持っていないわね。」

「アルフレッド、釣り竿ない。釣りって、なに?」

 ロレインちゃんもミコトも釣りの経験は無いようだった。というか、ミコトにいたっては釣りがなにかを知らないらしい。

「んっとぉ。一人経験者がいれば金額的にはお勧めなのよねぇ。マルットゲリータフィッシュはここから南西に行ったところにある女神マルティネスの泉に行けば、いっぱいいるわよ。ただ、ちょっと凶暴だから普通の人は釣らないわねぇ。だけど、冒険者のなり立ての人にはお勧めよ。比較的釣りやすいし。」

 ちょっと凶暴ってところが引っ掛かるけれど……。金額的には宿代くらいにはなりそうだし。いいかもしんない。

「納品は何匹ですか?」

「えっとぉ、1匹から10匹までだったら何匹でもいいわよぉ。」

 10匹捕まえたら、金貨1枚になる。釣りやすいんだったらとても良い依頼かもしれない。

 凶暴っていうのはとても気になるけれども。

「ロレインちゃん、アルフレッド、受けてもいいかな?」

「……私は構わないけれど、私は釣りをしたことがないからあまり役に立てないかもしれないわ。」

「アルフレッド、シヴァ、ついてく。」

 一応二人からも了承を得られたので、マルットゲリータフィッシュの依頼を受けることにした。

「この依頼、受けさせていただきます。」

「はぁい。ありがとーねぇ。くれぐれも気をつけてね。あ、あと釣り竿一応ギルドでも貸し出しているけど、いるかしら?レンタル料は1週間で銅貨1枚になりまぁす。」

 どうやら釣り竿も貸し出してくれているらしい。

「……釣れるかわからないから、私はやめておくわ。シヴァルツくんのを貸してくれるかしら?コツがわかったらレンタルしてみるから。」

「アルフレッド、レンタルする。」

「僕は持ってるから大丈夫です。」

「りょうかぁ~い。じゃあ、釣り竿1つレンタルですねぇ。銅貨1枚いただきまぁす。」

 僕はマリリンさんに銅貨を渡すとミコト用の釣り竿を受け取った。

 よし、これから宿を取ったら釣りに行ってみるぞ。そう意気込んだ。

 

 

 

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