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 コドランマリン草は確か水辺に生える薬草だったはずだ。

 じいちゃんもコドランマリン草を栽培したいと何度か試していたみたいだが、なぜか上手く根付かなかったと嘆いていた記憶がある。

「残念だけど、コドランマリン草はじいちゃんの庭にはないよ。コドランマリン草は栽培に向かないみたいで上手く育てられなかったんだってさ。それにコドランマリン草は水辺の近くに生息しているんだ。ラルルラータの町の側には水辺はなかったと思うけど……。」

「そうなの。残念だわ。じゃあ、依頼票は貼り出されているけど、簡単には依頼達成できないのね。だから値段が高いのかしら。」

「そうかもしれないね。……それにどれもこれも簡単には達成できない依頼みたいだね。このモララリン草なんて魔物はあんまり出現しないけど、近くに竜の巣がある場所じゃなかったっけ?」

「そうなの?」

「うん。確か一度だけじいちゃんに連れられていった記憶があるよ。運が悪いと竜と遭遇するから危険度は高いと思う。その他の薬草はどれも希少種だ。なかなか見つからないものが多いね。」

「ふぅん。シヴァルツくんは物知りね。じゃあ、当分はニッコリ草でお金を稼ぐしかないのかしら?」

 ロレインちゃんは頷きながら今後の金策を考え出した。

「……そのことなんだけど……当分の間はじいちゃんの家に帰らない方がいいかもしれない。」

 僕は声を小さくして告げる。

 ミコトが誰かに連れられてきたのがじいちゃんの家の玄関の前だった。つまり、その場所は先ほどの白服の男たちに押さえられているかもしれないのだ。

 もしかすると、僕たちの町を焼き払ったのは白服の男たちかもしれない。ミコトが町の近くにいるかもしれないと踏んで焼き払った可能性がある。

「……そうね。迂闊だったわ。でも、帰らないとしたらどこを拠点とする?この町は安全なのかしら?」

 確かに白服の男たちは僕たちが今居るラルルラータの町に来ている。もしかしたらしばらく逗留するかもしれない。

「アルフレッドの魔法があれば、バレないはずだよ。」

 白服の男たちは目の色を変えて白い髪の少女を探している。白い髪はとても目立つから、今のミコトの髪の色ならば探している髪の色とは違い目立たないからひとまずは大丈夫だろう。

「……灯台もと暗し。しばらくはラルルラータの町にいよう。今日冒険者ギルドに登録して明日にはこの町にいないというのは不自然だし。」

「……そうね。わかったわ。」

「アルフレッド、前にいった宿屋がいい。」

 ミコトは前回ラルルラータに来たときに泊まった宿屋が気に入ったようだ。

 確かにあの部屋を借りるのはちょうどいいかもしれない。別々に部屋を取るよりはいいし、自分たちで食事を作ることもできる。しばらくラルルラータの町にいるのであれば、あの宿屋に長期滞在してもいいかもしれない。

「そうだね。そこに行こうか。でも、じいちゃんの家にはしばらく帰れないからニッコリ草の採取は難しいね。少しギルドでの依頼を受けよう。でも、どれにしたらいいのか……。」

 ラルルラータの町を拠点にするのであれば、ニッコリ草をじいちゃんの家に採りに行く訳にはいかない。この近くで採れる素材に切り替えた方がいいだろう。

 だけれど、僕はこの辺りでどんな素材が採れるのか知らない。

「ちょっとあれだけど……マリリンさんにお勧めの依頼を紹介してもらうか……。」

 僕たちはあまり気が乗らなかったが、もう一度マリリンさんのいる受付に戻ることにした。

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