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しおりを挟むミコトは大丈夫だというけれど、と心配になりながらもミコトの意見に乗っかることにした。
もしかしたら死の森だなんて嘘かもしれない。
もしかしたらじいちゃんの家まですぐに帰れるかもしれない。
やはり一度はじいちゃんの家に帰りたい。もしかしたら、じいちゃんが帰って来ているかもしれないし。
それに、じいちゃんが帰って来たときのために書置きも残しておきたい。
そんな思いからミコトの意見に反対することはできなかった。
ロレインちゃんも不安は感じているがやはり僕たちの町が誰にも知られていないという事実に打ちのめされている感はあり、自分たちの町が存在したということを確かめたいみたいで強い反対はなかった。
「……行ってみましょう。でも、危ないと思ったらすぐに引き返すのよ。これは、譲れないわ。」
「ミコト、大丈夫。シヴァ、ロレイン、守る。」
「……僕もミコトとロレインちゃんのことは守ってみせるから。」
そう言う事になった。
でも事前準備はした方がいい。もうほとんどお金もないけど、携帯食料と回復薬くらいは買っておこうという話に落ち着いた。
「おはようございます。」
「おはよう。ミコト、ロレインちゃん。」
「おはよう。」
朝になって顔を合わせると挨拶をして黙々と朝食の準備をする。
朝の挨拶以外何もしゃべらずに黙々と食事をして部屋を経つ。
もし僕たちの村が跡形もなくなっていたら?
じいちゃんの家が跡形もなくなっていたら?
そう思うと食事も喉を通らなかったし、会話もできなかった。
やっぱり不安なのである。
「うん。行こうか。まずはメルルラータの町に行く出口からでよう。それがきっと一番近いだろう。」
「……塀、登る。」
ミコトは塀を登った方が早いだろうと言っている。
でも、それは僕とロレインちゃんが全力で拒否した。
塀を超えたら魔物の群れがいました。とかなったらすぐにゲームオーバーだからだ。それに、塀を超えるなんて目立つし。
魔物から守るために塀が立っているんだから、超えようとしたらなんらかの魔法が発動しても嫌だし。
「焦らず行こうね。焦りは禁物だから。」
そういうことになった。
僕たちはメルルラータの町に行く出口を抜ける。ここまではなんの問題もない。後は、僕たちの村の方角に塀伝いに歩いて行くだけだ。
ここまではとても簡単だった。塀伝いに歩いて行けばいいのだから。
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