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「えええええっ!?」

 ロレインちゃんと話していると、突然ロレインちゃんが驚いたような声を上げた。そうして、後ずさりしながら、僕を指さす。僕、というよりかは、僕の頭かな?

「どうしたの?ロレインちゃん。」

 なぜ、なにもしていないのに急にロレインちゃんが驚きはじめたんだろうと不思議に思い、尋ねる。

「えっ、あっ……あっ……あり得ないっ。なに!?なんでっ!?なんでっ!?……シヴァルツくんの髪の色が……。髪が……。」

「僕の、髪がどうしたの?」

 ロレインちゃんの言葉に僕は近くにあった鏡で自分の顔を見た。

 そして、目を瞠った。

「僕の……髪が、黒じゃ……ない。……金色?え?なんで??どうなってるんだ??」

 僕はロレインちゃんと同じように混乱する。髪の色が変わるなんてありえない。聞いたこともない。しかも、こんなに突然変わってしまうなんてあり得ない。

 髪を染めるための薬があることは知っていた。じいちゃんが、その薬を取り寄せたことも知っている。でも、髪を染める薬は髪が黒い僕には効果がなかった。じいちゃんのように真っ白な髪だったら多少の効果はあったが、黒い髪にはまったく効果がなかったのだ。

 それなのに、今の僕の髪は金色になっている。

 髪を染めるための薬を使ったわけじゃない。ロレインちゃんと話していただけなのに、だ。

「うまく、できた。シヴァ、褒める。」

 混乱している僕たちの前に、ミコトがやってきた。

 ……ミコト、だよな?

 ミコトの白い髪が見事な金髪になっている。真っ白な肌に金髪がとても映えており、まるでどこかのおとぎ話に出てくる精霊のように見えた。

「……ミコト、なのか?」

「……ミコトちゃん、なの?」

「ミコト。シヴァとミコト、魔法。髪の色。金色。」

 ミコトは頷いて、魔法で僕とミコトの髪の色を変えたことを教えてくれた。

 ミコトはなんでもないことのように言っているが、魔法で髪の色を変えるなんて僕は聞いたことがない。魔法に精通していたじいちゃんでさえ、僕に髪の色を変える魔法を使ったことがないから知らないと思う。

「……聞いたことがないわ。髪の色が変わるような魔法なんて……。」

 ロレインちゃんも知らなかったようで驚きに目を瞠っている。

「魔法。簡単。ミコト。ほめて。」

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