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しおりを挟む僕は苦し気なロレインちゃんに爺ちゃんから教わった治癒魔法をかける。治癒魔法によってロレインちゃんは少しずつ良くなっているようで、徐々に呼吸が落ち着いてきた。
「ありがとう。シヴァルツくん。」
治癒魔法で落ち着いたロレインちゃんは笑顔で僕にお礼を言ってきた。
「ううん。僕でも治せたのはロレインちゃんが大怪我をしていなかったからだよ。苦しかったのは呼吸だけだったでしょう?身体は怪我していないみたいだったし。」
僕の治癒魔法は爺ちゃんと違ってまだ発展途上。だから、爺ちゃんみたく瀕死になっている人を回復させることはできないし、切断された四肢をくっつけるなんてこともできない。僕はまだ簡単な怪我の治癒しかできないのだ。
ロレインちゃんが軽傷だったから治せただけで、重症だったら僕にはどうすることもできなかっただろう。
「……町は、壊滅状態ね。」
「……うん。僕が来た時にはもう……。」
ロレインちゃんはゆっくりと起き上がると辺りを見回して悲壮感を漂わせた。
僕とは違ってロレインちゃんは産まれた時からこの町で生活してきたんだ。親しい人だっていっぱいいただろうし、知り合いだっていっぱいいたはずだ。その人たちが死んでしまったのだ。悲しまないわけがない。
正確には、火事に巻き込まれる前に逃げ出していて、死んでいるとは言い切れないけど。
「……そう。そうよね。」
ロレインちゃんは嗚咽を漏らしながらまたその場に蹲ってしまった。
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