16 / 75
8ー2
しおりを挟む
「ミコト、今日は爺ちゃんが留守だから出来るだけ家の中にいようね。」
爺ちゃんが留守の間、ミコトを守るなら家の中が一番だ。外は危険がいっぱいだから。
森の中の一軒家の周りには時折魔物が出ることがある。爺ちゃんが魔除けの植物を家の周りに植えているから家の中までは入ってこないけれど。
「ミコト、わかった。」
ミコトは僕の言葉に頷いた。外に出れないことに不満はないようだ。
「窮屈な思いをさせてごめんね。」
僕は外に出れないことに対して謝る。今日はお天気だっていいのに。外に出たらさぞかし気持ちいいことだろうに。そんな日にミコトを家の中に隠すように縛り付けておかなければならないなんて。
僕だったら発狂しそうだ。
「ミコト、窮屈?なぜ?」
だけれども、ミコトは不思議そうに首を傾げた。
「狭い空間の中だけで過ごすのって苦痛じゃない?今日は天気もいいし、外に出たいとか思わない?」
「……ミコト、よくわからない。」
どうやら部屋の中にいるのは慣れているらしい。むしろ、外というのをあまり知らないような感じがした。
そう言えば、ミコトが来てから一回もミコトは外に出ていないような気がする。誰かに狙われていると危ないから情報を得るまでは家の中にいるようにって爺ちゃんが言ってたっけ。
「ミコトは外に出たことある?」
僕は好奇心が勝って気づけばそう尋ねていた。
「……外って、なに?あの人も言ってた。外に出たいかって。外って、楽しいの?」
ミコトがいつもより長く言葉を喋った。いつもは必要最低限にしかしゃべらないのに。
それにしても、
「外はとても楽しいよ。魔物がいて少し怖いけど。爺ちゃんがいれば大丈夫だから、爺ちゃんが帰ってきたら一緒に外に行こう。っていうか、あの人って誰?」
ミコトが言う「あの人」というのが気になって尋ねる。
「……ミコトに名前をつけてくれた人。」
ミコトはそれだけ教えてくれた。
あの人というのはミコトの名付け親のことらしい。ミコトには両親がいないって言っていたから、ミコトがいた孤児院の誰かということなのだろうか。
その人の名前でも聞ければ少しは情報が手に入るかもしれない。だけれども、それ以上は「あの人」についてミコトに聞いても首を傾げるだけだった。
その日はミコトと家の中でずっとおしゃべりをしていた。ミコトはあまりしゃべる子じゃなかったから僕が一方的にしゃべり倒していたけれど、ミコトはちゃんとに僕の話を聞いてくれているみたいで相槌を打ってくれた。
時々僕が何を喋っているのかわからなくて首を傾げていたけれど。
僕にとっては充実した一日になったことは確かだ。ミコトのことも少しだけど理解できてきたような気がしたし。
だけど、その日、町に行った爺ちゃんは夜が更けても戻っては来なかった。
爺ちゃんが留守の間、ミコトを守るなら家の中が一番だ。外は危険がいっぱいだから。
森の中の一軒家の周りには時折魔物が出ることがある。爺ちゃんが魔除けの植物を家の周りに植えているから家の中までは入ってこないけれど。
「ミコト、わかった。」
ミコトは僕の言葉に頷いた。外に出れないことに不満はないようだ。
「窮屈な思いをさせてごめんね。」
僕は外に出れないことに対して謝る。今日はお天気だっていいのに。外に出たらさぞかし気持ちいいことだろうに。そんな日にミコトを家の中に隠すように縛り付けておかなければならないなんて。
僕だったら発狂しそうだ。
「ミコト、窮屈?なぜ?」
だけれども、ミコトは不思議そうに首を傾げた。
「狭い空間の中だけで過ごすのって苦痛じゃない?今日は天気もいいし、外に出たいとか思わない?」
「……ミコト、よくわからない。」
どうやら部屋の中にいるのは慣れているらしい。むしろ、外というのをあまり知らないような感じがした。
そう言えば、ミコトが来てから一回もミコトは外に出ていないような気がする。誰かに狙われていると危ないから情報を得るまでは家の中にいるようにって爺ちゃんが言ってたっけ。
「ミコトは外に出たことある?」
僕は好奇心が勝って気づけばそう尋ねていた。
「……外って、なに?あの人も言ってた。外に出たいかって。外って、楽しいの?」
ミコトがいつもより長く言葉を喋った。いつもは必要最低限にしかしゃべらないのに。
それにしても、
「外はとても楽しいよ。魔物がいて少し怖いけど。爺ちゃんがいれば大丈夫だから、爺ちゃんが帰ってきたら一緒に外に行こう。っていうか、あの人って誰?」
ミコトが言う「あの人」というのが気になって尋ねる。
「……ミコトに名前をつけてくれた人。」
ミコトはそれだけ教えてくれた。
あの人というのはミコトの名付け親のことらしい。ミコトには両親がいないって言っていたから、ミコトがいた孤児院の誰かということなのだろうか。
その人の名前でも聞ければ少しは情報が手に入るかもしれない。だけれども、それ以上は「あの人」についてミコトに聞いても首を傾げるだけだった。
その日はミコトと家の中でずっとおしゃべりをしていた。ミコトはあまりしゃべる子じゃなかったから僕が一方的にしゃべり倒していたけれど、ミコトはちゃんとに僕の話を聞いてくれているみたいで相槌を打ってくれた。
時々僕が何を喋っているのかわからなくて首を傾げていたけれど。
僕にとっては充実した一日になったことは確かだ。ミコトのことも少しだけど理解できてきたような気がしたし。
だけど、その日、町に行った爺ちゃんは夜が更けても戻っては来なかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
81
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる