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第67話
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私は抱き上げたクリスをジッと見つめる。足の先から頭のてっぺんまでクリスをジッと観察する。どこが悪いのだろうかと観察をするが見た目からでは判断がつかない。
毛艶だっていいし、体格だって太ってもいないし痩せてもいない。ちょうど良い体格だと思う。お髭だって、元気がなくて下に垂れてしまっているが問題ないように思える。
私は抱き上げていたクリスをソファーの上に降ろしてあおむけにすると無防備にさらけ出されたクリスのお腹に耳をあてる。
クリスの身体からはドクッドクッという人間よりも少しだけ早い鼓動の音が聞こえてきた。だけれども、異常はないように思える。
今度はクリスの身体にしこりでも出来てしまったのかと思って、クリスの身体を頭の先から尻尾の先まで確認するように触っていく。
だが、弾力のある身体があるばかりで特にしこりのようなものもないようだ。
「どこもなんともないように思えるのに……どうしちゃったの、クリス。ロザリー、クリスは死んじゃうの?違うわよね?気を確かに持ってってどういうことなの?はっきりと言ってちょうだい。」
私はクリスが死んでしまうのではないかという不安に駆られてロザリーに問いかける。本当はクリスに問いかけた方が早いと思うのだが、なにせクリスは猫だ。人間の言葉がわかっているように振舞っていても猫なのだ。私は、猫の言葉なんてわからない。
と、そこまで考えて「ハッ」とした。
そう言えば、侯爵はクリスの言葉がわかったのではなかっただろうか。
確か、私が侯爵家に着ていくドレスに困っていた時、クリスが侯爵に連絡してドレスを用意してくれたはずだ。そうすると侯爵だったらクリスの言葉がわかるかもしれない。
私は一欠けらの希望を抱いた。
「侯爵様は!侯爵様はどこなの!先ほどまでいらしたでしょ?どこに行ったのかしら?」
侯爵だったらクリスの言葉がわかる。そう確信した私は侯爵を探すことにした。先ほどまでここにいたのだからそんなに遠くまで行ってはいないはずだ。
「あ、アンジェリカお嬢様……そ、それは……。」
だが、なぜかロザリーは侯爵の行方を告げるのも戸惑っているようで口を閉ざしてしまう。お父様とお母様を見ても、こちらを見て口をパクパクと動かしているだけで、声にならないようだ。
「急用があってお屋敷に戻られたのかしら。私、ちょっと侯爵家に行ってくるわっ!!」
そう言って私が家から飛び出そうとすると、ローゼリア嬢が私の手を取った。
「待ちなさい。やっと日が昇ったばかりよ。今から侯爵家に行ったらご迷惑になるわ。もう少し待ちなさい。それに……クリスは死なないわ。だから、安心なさい。それからアンジェリカはもう少し状況を理解するように務めた方がいと思うわよ。後で侯爵家に一緒に行ってあげるから、少し仮眠を取りましょう。」
ローゼリア嬢はそう言ってクリスを抱きしめている私の右手を取ると私の自室の方に向かって歩いて行った。
「え?クリス、大丈夫なの?じゃあ、なんでこんなに元気がないの……。」
クリスが大丈夫と言われて安心したが、私は訳がわからないままローゼリア嬢に手を引かれるがまま自室に向かったのだった。
毛艶だっていいし、体格だって太ってもいないし痩せてもいない。ちょうど良い体格だと思う。お髭だって、元気がなくて下に垂れてしまっているが問題ないように思える。
私は抱き上げていたクリスをソファーの上に降ろしてあおむけにすると無防備にさらけ出されたクリスのお腹に耳をあてる。
クリスの身体からはドクッドクッという人間よりも少しだけ早い鼓動の音が聞こえてきた。だけれども、異常はないように思える。
今度はクリスの身体にしこりでも出来てしまったのかと思って、クリスの身体を頭の先から尻尾の先まで確認するように触っていく。
だが、弾力のある身体があるばかりで特にしこりのようなものもないようだ。
「どこもなんともないように思えるのに……どうしちゃったの、クリス。ロザリー、クリスは死んじゃうの?違うわよね?気を確かに持ってってどういうことなの?はっきりと言ってちょうだい。」
私はクリスが死んでしまうのではないかという不安に駆られてロザリーに問いかける。本当はクリスに問いかけた方が早いと思うのだが、なにせクリスは猫だ。人間の言葉がわかっているように振舞っていても猫なのだ。私は、猫の言葉なんてわからない。
と、そこまで考えて「ハッ」とした。
そう言えば、侯爵はクリスの言葉がわかったのではなかっただろうか。
確か、私が侯爵家に着ていくドレスに困っていた時、クリスが侯爵に連絡してドレスを用意してくれたはずだ。そうすると侯爵だったらクリスの言葉がわかるかもしれない。
私は一欠けらの希望を抱いた。
「侯爵様は!侯爵様はどこなの!先ほどまでいらしたでしょ?どこに行ったのかしら?」
侯爵だったらクリスの言葉がわかる。そう確信した私は侯爵を探すことにした。先ほどまでここにいたのだからそんなに遠くまで行ってはいないはずだ。
「あ、アンジェリカお嬢様……そ、それは……。」
だが、なぜかロザリーは侯爵の行方を告げるのも戸惑っているようで口を閉ざしてしまう。お父様とお母様を見ても、こちらを見て口をパクパクと動かしているだけで、声にならないようだ。
「急用があってお屋敷に戻られたのかしら。私、ちょっと侯爵家に行ってくるわっ!!」
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「待ちなさい。やっと日が昇ったばかりよ。今から侯爵家に行ったらご迷惑になるわ。もう少し待ちなさい。それに……クリスは死なないわ。だから、安心なさい。それからアンジェリカはもう少し状況を理解するように務めた方がいと思うわよ。後で侯爵家に一緒に行ってあげるから、少し仮眠を取りましょう。」
ローゼリア嬢はそう言ってクリスを抱きしめている私の右手を取ると私の自室の方に向かって歩いて行った。
「え?クリス、大丈夫なの?じゃあ、なんでこんなに元気がないの……。」
クリスが大丈夫と言われて安心したが、私は訳がわからないままローゼリア嬢に手を引かれるがまま自室に向かったのだった。
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