65 / 70
本編
64
しおりを挟む
「いやっ!!やめて!!私の心を暴かないで!!」
精霊王とプーちゃんがシルヴィアさんの考察を始めると、シルヴィアさんが耳を塞いで大声で叫んだ。
ということは、精霊王とプーちゃんが言ったことは正しいのだろう。
「シルヴィアさん・・・。」
私は一歩ずつシルヴィアさんに近づく。
シルヴィアさんはいやいやとするように首を横に降り続け、地下牢の壁までずりさがる。
「話をしましょう。」
「ないわ!私にはあなたと話すことなどなにもないわ!!」
目を固く閉じたままうつむいてシルヴィアさんが言う。
それでも、シルヴィアさんと話さなければならない。
このままだとシルヴィアさんの心が壊れてしまいそうだから。
「ねえ、シルヴィアさん。私はあなたのことが羨ましかったわ。あなたは綺麗で凛としていた。それに、自分の意思を告げる強さが羨ましかった。私にはないものだったから。」
「うそよ!私のことが羨ましいだなんてうそよ!!私はそんな人間じゃないわ!!」
シルヴィアさんは私の言葉を全身で否定した。
それでも私は続ける。
「シルヴィアさん。誰かを羨ましいと思うことはいけないことじゃないと思うの。そして、誰かに嫉妬するのも仕方がないと思うわ。」
「・・・・・・・・・。」
シルヴィアさんは無言で首を降り続ける。
「だからね、シルヴィアさんが私やアクアさんにしたことは許します。ランティス様が本当に好きだったのでしょう?」
「ああ・・・っ。」
ランティス様の名を出したとたんシルヴィアさんはその場に崩れ落ちた。
「・・・す、好きだったの。優しかったの。ランティス様は私に唯一優しく接してくれたわ。だから、特別だったの。」
「そう。」
シルヴィアさんの周囲にはシルヴィアさんに優しく接してくれる人がいなかったのだろうか。
「それにランティス様は身分も申し訳なかった。ランティス様の心を得られたなら父も母も私を受け入れてくれると思ったのよっ!!」
「そう。」
シルヴィアさんの心の中にはお父様とお母様に認められたいという気持ちが大きかったのだろう。
「なのにっ!ランティス様はエメロードの婚約者だって!!ただでさえ父も母もエメロードはすごい。おまえがエメロードのように魔力も知力もあればどんなによかったことだろう。って言われて過ごしてきたのにっ!なんでエメロードなの!!どうしてエメロードばかりなの!!」
シルヴィアさんの言葉は途中よくわからなかったが、言いたいことだけはよくわかった。
両親が私とシルヴィアさんを比べてばかりいたからシルヴィアさんは次第に私を気にするようになったのだろう。
そうして、唯一シルヴィアさんに優しかったランティス様も私の婚約者だった。
だから、私を攻撃するしかなかったのだろう。
「お父様とお母様ともっとお話をしてみたらどうかしら?きっとお父様もお母様もシルヴィアさんのことが大好きよ。」
私の父も母も私のことを愛してくれている。それがわかる。
きっと自分の娘だもの。愛さない親なんていないわ。
「うそよ!そんなことないわ!父も母も私のことは嫌いなのよ!!両親に恵まれたあなたに言われたくないわ!!」
でも、この言葉はシルヴィアさんにとっては火に油だったようだ。
迂闊なことを言ってしまったということに気づく。
精霊王とプーちゃんがシルヴィアさんの考察を始めると、シルヴィアさんが耳を塞いで大声で叫んだ。
ということは、精霊王とプーちゃんが言ったことは正しいのだろう。
「シルヴィアさん・・・。」
私は一歩ずつシルヴィアさんに近づく。
シルヴィアさんはいやいやとするように首を横に降り続け、地下牢の壁までずりさがる。
「話をしましょう。」
「ないわ!私にはあなたと話すことなどなにもないわ!!」
目を固く閉じたままうつむいてシルヴィアさんが言う。
それでも、シルヴィアさんと話さなければならない。
このままだとシルヴィアさんの心が壊れてしまいそうだから。
「ねえ、シルヴィアさん。私はあなたのことが羨ましかったわ。あなたは綺麗で凛としていた。それに、自分の意思を告げる強さが羨ましかった。私にはないものだったから。」
「うそよ!私のことが羨ましいだなんてうそよ!!私はそんな人間じゃないわ!!」
シルヴィアさんは私の言葉を全身で否定した。
それでも私は続ける。
「シルヴィアさん。誰かを羨ましいと思うことはいけないことじゃないと思うの。そして、誰かに嫉妬するのも仕方がないと思うわ。」
「・・・・・・・・・。」
シルヴィアさんは無言で首を降り続ける。
「だからね、シルヴィアさんが私やアクアさんにしたことは許します。ランティス様が本当に好きだったのでしょう?」
「ああ・・・っ。」
ランティス様の名を出したとたんシルヴィアさんはその場に崩れ落ちた。
「・・・す、好きだったの。優しかったの。ランティス様は私に唯一優しく接してくれたわ。だから、特別だったの。」
「そう。」
シルヴィアさんの周囲にはシルヴィアさんに優しく接してくれる人がいなかったのだろうか。
「それにランティス様は身分も申し訳なかった。ランティス様の心を得られたなら父も母も私を受け入れてくれると思ったのよっ!!」
「そう。」
シルヴィアさんの心の中にはお父様とお母様に認められたいという気持ちが大きかったのだろう。
「なのにっ!ランティス様はエメロードの婚約者だって!!ただでさえ父も母もエメロードはすごい。おまえがエメロードのように魔力も知力もあればどんなによかったことだろう。って言われて過ごしてきたのにっ!なんでエメロードなの!!どうしてエメロードばかりなの!!」
シルヴィアさんの言葉は途中よくわからなかったが、言いたいことだけはよくわかった。
両親が私とシルヴィアさんを比べてばかりいたからシルヴィアさんは次第に私を気にするようになったのだろう。
そうして、唯一シルヴィアさんに優しかったランティス様も私の婚約者だった。
だから、私を攻撃するしかなかったのだろう。
「お父様とお母様ともっとお話をしてみたらどうかしら?きっとお父様もお母様もシルヴィアさんのことが大好きよ。」
私の父も母も私のことを愛してくれている。それがわかる。
きっと自分の娘だもの。愛さない親なんていないわ。
「うそよ!そんなことないわ!父も母も私のことは嫌いなのよ!!両親に恵まれたあなたに言われたくないわ!!」
でも、この言葉はシルヴィアさんにとっては火に油だったようだ。
迂闊なことを言ってしまったということに気づく。
4
お気に入りに追加
2,098
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
嘘を囁いた唇にキスをした。それが最後の会話だった。
わたあめ
恋愛
ジェレマイア公爵家のヒルトンとアールマイト伯爵家のキャメルはお互い17の頃に婚約を誓た。しかし、それは3年後にヒルトンの威勢の良い声と共に破棄されることとなる。
「お前が私のお父様を殺したんだろう!」
身に覚えがない罪に問われ、キャメルは何が何だか分からぬまま、隣国のエセルター領へと亡命することとなった。しかし、そこは異様な国で...?
※拙文です。ご容赦ください。
※この物語はフィクションです。
※作者のご都合主義アリ
※三章からは恋愛色強めで書いていきます。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
黒猫にスカウトされたので呪われ辺境伯家に嫁ぎます〜「君との面会は1日2分が限界だ」と旦那様に言われましたが、猫が可愛すぎるので平気です
越智屋ノマ@甘トカ【書籍】大人気御礼!
恋愛
22歳のクララは、父の爵位を継いでマグラス伯爵家の当主となるはずだった。
しかし、妹のイザベラに次期伯爵の座を奪われてしまう。イザベラはさらに、クララの婚約者デリックまで奪っていった。実はイザベラとデリックは、浮気関係にあったのだ。
でも。クララは全然悔しくない。今日ものんびりまったりと、花壇で土いじりをしている。
彼女は社交場よりも花壇を愛し、花や野菜を育てるスローライフを切望していたのだ。
「地位も権力も結婚相手もいらないから、のんびり土いじりをしていたいわ」
そんなふうに思っていたとき、一匹の黒猫が屋敷の庭へと迷い込んでくる。艶やかな黒い毛並みと深緑の瞳が美しい、甘えん坊の仔猫だった。
黒猫を助けた縁で、『飼い主』を名乗る美青年――レナス辺境伯家の次期当主であるジェドとも妙なご縁ができてしまい……。
とんとん拍子に話が進み、レナス家に嫁入りしてしまったクララ。嫁入りの報酬として贈られた『わたし専用の畑』で、今日も思いきり家庭菜園を楽しみます!
病弱なジェドへのお見舞いのために、クララは花やハーブ料理を毎日せっせと贈り続けるが……
「あら? ジェド様の顔色、最近とても良くなってきたような」
一方、クララを追い出して喜んでいた妹&元婚約者のもとには、想定外のトラブルが次々と……?
――これは予期せぬ嫁入りから始まった、スローライフな大事件。
クララと甘えん坊の仔猫、そして仔猫にそっくり過ぎる訳アリな旦那さまが繰り広げる、ハッピーエンドの物語。
※ ざまぁ回・ざまぁ前振り回は、サブタイトルの数字横に『*』記号がついています。
悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!
Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。
転生前も寝たきりだったのに。
次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。
でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。
何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。
病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。
過去を克服し、二人の行く末は?
ハッピーエンド、結婚へ!
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる