悪役令嬢は始祖竜の母となる

葉柚

文字の大きさ
上 下
50 / 70
本編

49

しおりを挟む
 

 

それから私はプーちゃんのことを受け入れた。

受け入れたといっても始祖竜ってところにはかなりの違和感があるけれども。

なんで私が始祖竜の母親的存在に選ばれたのかはまだわからない。

プーちゃんに聞いてもなんとなくとしか答えてくれなかった。

「おおっ!始祖竜様。今日も麗しい鱗ですな。どれ、その麗しい鱗を今日こそ一枚いただけませんかな?」

「断る。痛いのは嫌なのだ。」

プーちゃんと仲直りはしたんだけれども、プーちゃんが始祖竜だとわかってからトリードット先生がかなりうざい。

って、先生に向かってうざいって言っちゃダメだった。

ええと、トリードット先生は非常に煩わしい存在になった。

って、これもあまり良くないか・・・。

じゃあ、始終まとわりついてきてうざい・・・。

って、またうざいって言っちゃった。

もう、しょうがない。

トリードット先生に面と向かって言わなければいいよね。うん。

まあ、そんな感じでプーちゃんが始祖竜とわかってから毎日のようにトリードット先生が私の元へとやってくるのだ。目的はプーちゃんだけれども。プーちゃんと私は常に一緒にいるので必然的にトリードット先生と私も会うことになる。

邪竜の卵が孵るまでは頼れる先生だったのに、なぜこうなったんだろう。

「あらぁ~ん。始祖竜様ぁ~。怪我を治してくれてありがとうございますぅ~。始祖竜様が治してくださった怪我がちゃんとに治っているか確認しませんかぁ~?」

「我がポカをしたというのかっ!?」

そう言ってこちらにすり寄ってくるのはジェリードット先生だった。

お色気ムンムンの服装でプーちゃんにしな垂れかかってくる。

が、プーちゃんは手のひらサイズの蛇なので必然的に私にしな垂れかかってきている。

こちらもうざいことこの上ない。

ジェリードット先生も邪竜の卵が孵るまでは普通の頼りになる先生だったのになぁ。

どうしたことか。

「プーちゃん・・・。先生方がなんだか怖くなっちゃったね。」

「うむ。まさかここまで影響が出るとは思わなかった・・・。」

プーちゃんが私の肩で疲れたようにガックリと項垂れた。

「ほんとね、ひどい有様だわ。見ているこっちも疲れてしまうわね。」

そう言ったのはアクアさんだった。

アクアさんと私は一緒にいることが多いので必然的に、トリードット先生やジェリードット先生と鉢合わせる回数が増えているのだ。

というか、プーちゃん今、なんて言った。

なんか、先生方の性格が極端になってしまったのには訳があるような言い方だったんだけれども・・・。

 

 

 

 

しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

裏切られた公爵令嬢は、冒険者として自由に生きる

小倉みち
ファンタジー
 公爵令嬢のヴァイオレットは、自身の断罪の場で、この世界が乙女ゲームの世界であることを思い出す。  自分の前世と、自分が悪役令嬢に転生してしまったという事実に気づいてしまったものの、もう遅い。  ヴァイオレットはヒロインである庶民のデイジーと婚約者である第一王子に嵌められ、断罪されてしまった直後だったのだ。  彼女は弁明をする間もなく、学園を退学になり、家族からも見放されてしまう。  信じていた人々の裏切りにより、ヴァイオレットは絶望の淵に立ったーーわけではなかった。 「貴族じゃなくなったのなら、冒険者になればいいじゃない」  持ち前の能力を武器に、ヴァイオレットは冒険者として世界中を旅することにした。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します

如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい 全くもって分からない 転生した私にはその美的感覚が分からないよ

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています

窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。 シナリオ通りなら、死ぬ運命。 だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい! 騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します! というわけで、私、悪役やりません! 来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。 あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……! 気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。 悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!

公爵令嬢は薬師を目指す~悪役令嬢ってなんですの?~【短編版】

ゆうの
ファンタジー
 公爵令嬢、ミネルヴァ・メディシスは時折夢に見る。「治癒の神力を授かることができなかった落ちこぼれのミネルヴァ・メディシス」が、婚約者である第一王子殿下と恋に落ちた男爵令嬢に毒を盛り、断罪される夢を。  ――しかし、夢から覚めたミネルヴァは、そのたびに、思うのだ。「医者の家系《メディシス》に生まれた自分がよりによって誰かに毒を盛るなんて真似をするはずがないのに」と。  これは、「治癒の神力」を授かれなかったミネルヴァが、それでもメディシスの人間たろうと努力した、その先の話。 ※ 様子見で(一応)短編として投稿します。反響次第では長編化しようかと(「その後」を含めて書きたいエピソードは山ほどある)。

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

処理中です...