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「メリーチェ!!」
「メリーチェ様!」
懐かしい声に私とアルフレッド様は即座に反応する。
特にアルフレッド様は素早かった。
声を聞くなりメリーチェに飛び付いたのだ。
そして、メリーチェは飛び付いてきたアルフレッド様をサッとかわす。
「アリーチェ。時間がかかってしまったが、迎えにきたよ。それから、私は今日から男爵令息になったからね。」
そうか。
とうとうメリーチェは男爵令息になったらしい。
つまりメリーチェの両親が私の両親となったということだ。
私も数日前に侯爵家に引き取られている。
行き別れの娘として、大切に侯爵家に迎え入れられた。
「もう、メリーチェという名ではないの?」
メリーチェの姿はドレス姿ではなかった。
英国紳士風の服を来ている。
「そうだね。今日から私は男にもどるからね。」
そう言ってメリーチェはにこりと笑った。
女性の姿をしているときもメリーチェの笑顔はとっても魅力的だったが、元の性別に戻ったメリーチェの笑顔は破壊的な魅力がある。
男でも女でもお年寄りでも子供でも惹き付けられるのではないかというほど、魅力的な笑顔だ。
「これからは、私のことはメリアルドと読んでくれないかな?」
「あ………はい。」
メリーチェ………じゃないメリアルド様は自分の名前を微笑みながら教えてくれた。
「これでやっとアリーチェに婚約を申し込むことが出来る。さあ、アリーチェの侯爵家のご両親に挨拶に行こうか。ああ、もちろん男爵家のアリーチェの元両親はアリーチェが私の婚約者になることに賛成しているからね。」
「その婚約ちょっと待った!!」
メリアルド様から差し出された手を取って立ち上がれば、アルフレッド様からの待ったがかかった。
いったいなんだというのだろうか。
「なにか?」
メリアルド様がアルフレッド様に視線を向けると、「うっ。」というアルフレッド様の声が聞こえてきた。
「わ、わ、私の側近になるのが先だ!だからメリアルド、今から王宮に行くぞ!」
そう言えばメリアルド様はアルフレッド様の側近になると約束していたな。
メリアルド様が男に戻ったならば、アルフレッド様の側近にもすぐになれるだろう。
メリアルド様はすぐにアルフレッド様と王宮に行ってしまうのだろうか。
私はそっとメリアルド様を見上げた。
すると、メリアルド様の優しい眼差しが私に向けられていた。
「そうですね。アリーチェに婚約を申し込む前に私にもある程度の地位が必要ですね。アリーチェは侯爵令嬢なのだから。では、アルフレッド様。さっさと私を側近にしてください。アリーチェ。アリーチェも一緒に王宮に行きましょうね。」
「………はい。メリアルド様。」
「だ、ダメだ!!王宮は女人禁制だ!!アリーチェはここで待っていろ!」
「アルフレッド様?いつから王宮は女人禁制になったのでしょうか?私の記憶ではそのような話を聞いたことがないのですが。教えていただけますか?」
アルフレッド様が王宮は女人禁制だというと、すぐにメリアルド様が反論した。
たしかに王宮が女人禁制だとは聞いたことがない。
毎年王宮勤めの侍女の募集もあるしね。
「私は王宮の仕来たりに疎いようですね。こんな私では王太子殿下の側近には到底なれませんね。」
「なっ!?そ、それは許さぬ!」
メリアルド様は芝居がかかったように残念そうにうつむいた。
するとアルフレッド様がすぐにひき止める。
「アリーチェ行きましょう。どうやら私は王太子殿下の側近にはなれないようです。残念ですが仕方がありません。」
「メリアルド!メリアルドは私の側近だ!王宮が女人禁制だというのはちょっとした冗談ではないかっ!アリーチェ、一緒に着いてきてよいからな。」
どうやら、アルフレッド様はメリアルド様には勝てないようです。
思わずメリアルド様とアルフレッド様のやり取りに「ふふっ。」と笑ってしまった。
こうして、メリアルド様と私は無事に婚約をし幸せな日々を過ごしたのでした。
あ、アルフレッド様にメリーチェ以外の婚約者が出来たかどうかはご想像にお任せいたします。
めでたし。めでたし。
終わり。
「メリーチェ様!」
懐かしい声に私とアルフレッド様は即座に反応する。
特にアルフレッド様は素早かった。
声を聞くなりメリーチェに飛び付いたのだ。
そして、メリーチェは飛び付いてきたアルフレッド様をサッとかわす。
「アリーチェ。時間がかかってしまったが、迎えにきたよ。それから、私は今日から男爵令息になったからね。」
そうか。
とうとうメリーチェは男爵令息になったらしい。
つまりメリーチェの両親が私の両親となったということだ。
私も数日前に侯爵家に引き取られている。
行き別れの娘として、大切に侯爵家に迎え入れられた。
「もう、メリーチェという名ではないの?」
メリーチェの姿はドレス姿ではなかった。
英国紳士風の服を来ている。
「そうだね。今日から私は男にもどるからね。」
そう言ってメリーチェはにこりと笑った。
女性の姿をしているときもメリーチェの笑顔はとっても魅力的だったが、元の性別に戻ったメリーチェの笑顔は破壊的な魅力がある。
男でも女でもお年寄りでも子供でも惹き付けられるのではないかというほど、魅力的な笑顔だ。
「これからは、私のことはメリアルドと読んでくれないかな?」
「あ………はい。」
メリーチェ………じゃないメリアルド様は自分の名前を微笑みながら教えてくれた。
「これでやっとアリーチェに婚約を申し込むことが出来る。さあ、アリーチェの侯爵家のご両親に挨拶に行こうか。ああ、もちろん男爵家のアリーチェの元両親はアリーチェが私の婚約者になることに賛成しているからね。」
「その婚約ちょっと待った!!」
メリアルド様から差し出された手を取って立ち上がれば、アルフレッド様からの待ったがかかった。
いったいなんだというのだろうか。
「なにか?」
メリアルド様がアルフレッド様に視線を向けると、「うっ。」というアルフレッド様の声が聞こえてきた。
「わ、わ、私の側近になるのが先だ!だからメリアルド、今から王宮に行くぞ!」
そう言えばメリアルド様はアルフレッド様の側近になると約束していたな。
メリアルド様が男に戻ったならば、アルフレッド様の側近にもすぐになれるだろう。
メリアルド様はすぐにアルフレッド様と王宮に行ってしまうのだろうか。
私はそっとメリアルド様を見上げた。
すると、メリアルド様の優しい眼差しが私に向けられていた。
「そうですね。アリーチェに婚約を申し込む前に私にもある程度の地位が必要ですね。アリーチェは侯爵令嬢なのだから。では、アルフレッド様。さっさと私を側近にしてください。アリーチェ。アリーチェも一緒に王宮に行きましょうね。」
「………はい。メリアルド様。」
「だ、ダメだ!!王宮は女人禁制だ!!アリーチェはここで待っていろ!」
「アルフレッド様?いつから王宮は女人禁制になったのでしょうか?私の記憶ではそのような話を聞いたことがないのですが。教えていただけますか?」
アルフレッド様が王宮は女人禁制だというと、すぐにメリアルド様が反論した。
たしかに王宮が女人禁制だとは聞いたことがない。
毎年王宮勤めの侍女の募集もあるしね。
「私は王宮の仕来たりに疎いようですね。こんな私では王太子殿下の側近には到底なれませんね。」
「なっ!?そ、それは許さぬ!」
メリアルド様は芝居がかかったように残念そうにうつむいた。
するとアルフレッド様がすぐにひき止める。
「アリーチェ行きましょう。どうやら私は王太子殿下の側近にはなれないようです。残念ですが仕方がありません。」
「メリアルド!メリアルドは私の側近だ!王宮が女人禁制だというのはちょっとした冗談ではないかっ!アリーチェ、一緒に着いてきてよいからな。」
どうやら、アルフレッド様はメリアルド様には勝てないようです。
思わずメリアルド様とアルフレッド様のやり取りに「ふふっ。」と笑ってしまった。
こうして、メリアルド様と私は無事に婚約をし幸せな日々を過ごしたのでした。
あ、アルフレッド様にメリーチェ以外の婚約者が出来たかどうかはご想像にお任せいたします。
めでたし。めでたし。
終わり。
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新しい婚約破棄ストーリーでした!
素直に面白かったです!
ありがとうございました!
ご指摘ありがとうございます。確かに矛盾してますね💦
アルフレッドはメリーチェが婚約者だったから体面を保っていましたが、メリーチェが婚約者としてアルフレッドを支えなくなってしまったので残念な子になりました。
ただ、メリーチェがアルフレッドの側近になればまたアルフレッドも有能な王太子として返り咲くことでしょう(笑)