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「きゃっ・・・。」

「はあ・・・。」

アルフレッド様には渡さないとばかりにメリーチェに抱き寄せられる私に、大きなため息をつくアルフレッド様。

「アリーチェは渡さなくってよ。」

メリーチェはキッとアルフレッド様を睨んでいる。

「ふふふ。怒ったメリーチェも魅力的だな。」

「アルフレッド様っ!」

「やはり、私はアリーチェよりもメリーチェの方が魅力的なんだ。」

そう言ってアルフレッド様はメリーチェの前に跪いた。

「メリーチェ。君が男でも私は構わないと常日頃思っていたんだ。どうか、私と婚約関係を継続してくれないか。」

「無理です。先ほど婚約を解消するという話になったでしょう?」

「だが、やはり君を失うのはとても辛いんだ。アリーチェは代わりになんてなれないし。」

「却下です。別の誰かを探してください。」

縋りつくアルフレッド様に、きっぱりとメリーチェは告げる。

その様は見ていてとても気持ちのよい物だった。

「・・・探してもきっとメリーチェ以上の人には出会えない。」

「・・・はあ。駄々っ子ですね。アルフレッド様は。」

諦めないアルフレッド様にメリーチェはため息をついた。

そうして、

「私はアルフレッド様の婚約者にはもうなれませんが、アルフレッド様の側近にはなれるかと思います。まあ、側近になるにはアルフレッド様の許可と国王陛下の許可が必要ですが・・・。」

と、メリーチェは妥協案をアルフレッド様に提案した。

その妥協案にアルフレッド様は目を輝かせた。

「そうだな!メリーチェが側近になれば我が妃よりもメリーチェと側にいる時間が長くなるな。」

そうアルフレッド様は言ってから、私の方を見た。

「アリーチェ。残念だったな。メリーチェが私の側近になれば、アリーチェよりも私と一緒にいることが多くなるだろう。私の勝ちだな。」

「・・・いつから勝負になってたんですか。」

勝ち誇ったように言うアルフレッド様に私は思わず突っ込んでしまった。

なんでどちらがメリーチェと長い時間一緒にいられるのかという話になっているのだろうか。

それにしても、アルフレッド様は本当にメリーチェのことが好きだったんだなぁ。

「さて、話もまとまったことですし、行きましょうか。アリーチェ。」

「え?あ・・・はい。」

メリーチェが差し出してくれた手に私の手を重ねる。

そうして私たちは歩きだした。

「はっ!ずるいぞ!アリーチェ!!メリーチェと手を繋ぐには私だ!」

その後をアルフレッド様が追いかけてくる。

私たちはアルフレッド様が追いかけてこられないように女子寮に逃げ込んだ。

女子寮ならば、アルフレッド様が入ってこれないからだ。

なにせ男子禁制だからね。

「あれ?メリーチェ様は女子寮にいていいんですか?」

「いいのよ。だって私はまだ侯爵家の娘ですからね。」

 

 

 

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