21 / 23
21
しおりを挟む「きゃっ・・・。」
「はあ・・・。」
アルフレッド様には渡さないとばかりにメリーチェに抱き寄せられる私に、大きなため息をつくアルフレッド様。
「アリーチェは渡さなくってよ。」
メリーチェはキッとアルフレッド様を睨んでいる。
「ふふふ。怒ったメリーチェも魅力的だな。」
「アルフレッド様っ!」
「やはり、私はアリーチェよりもメリーチェの方が魅力的なんだ。」
そう言ってアルフレッド様はメリーチェの前に跪いた。
「メリーチェ。君が男でも私は構わないと常日頃思っていたんだ。どうか、私と婚約関係を継続してくれないか。」
「無理です。先ほど婚約を解消するという話になったでしょう?」
「だが、やはり君を失うのはとても辛いんだ。アリーチェは代わりになんてなれないし。」
「却下です。別の誰かを探してください。」
縋りつくアルフレッド様に、きっぱりとメリーチェは告げる。
その様は見ていてとても気持ちのよい物だった。
「・・・探してもきっとメリーチェ以上の人には出会えない。」
「・・・はあ。駄々っ子ですね。アルフレッド様は。」
諦めないアルフレッド様にメリーチェはため息をついた。
そうして、
「私はアルフレッド様の婚約者にはもうなれませんが、アルフレッド様の側近にはなれるかと思います。まあ、側近になるにはアルフレッド様の許可と国王陛下の許可が必要ですが・・・。」
と、メリーチェは妥協案をアルフレッド様に提案した。
その妥協案にアルフレッド様は目を輝かせた。
「そうだな!メリーチェが側近になれば我が妃よりもメリーチェと側にいる時間が長くなるな。」
そうアルフレッド様は言ってから、私の方を見た。
「アリーチェ。残念だったな。メリーチェが私の側近になれば、アリーチェよりも私と一緒にいることが多くなるだろう。私の勝ちだな。」
「・・・いつから勝負になってたんですか。」
勝ち誇ったように言うアルフレッド様に私は思わず突っ込んでしまった。
なんでどちらがメリーチェと長い時間一緒にいられるのかという話になっているのだろうか。
それにしても、アルフレッド様は本当にメリーチェのことが好きだったんだなぁ。
「さて、話もまとまったことですし、行きましょうか。アリーチェ。」
「え?あ・・・はい。」
メリーチェが差し出してくれた手に私の手を重ねる。
そうして私たちは歩きだした。
「はっ!ずるいぞ!アリーチェ!!メリーチェと手を繋ぐには私だ!」
その後をアルフレッド様が追いかけてくる。
私たちはアルフレッド様が追いかけてこられないように女子寮に逃げ込んだ。
女子寮ならば、アルフレッド様が入ってこれないからだ。
なにせ男子禁制だからね。
「あれ?メリーチェ様は女子寮にいていいんですか?」
「いいのよ。だって私はまだ侯爵家の娘ですからね。」
11
お気に入りに追加
582
あなたにおすすめの小説
国外追放を受けた聖女ですが、戻ってくるよう懇願されるけどイケメンの国王陛下に愛されてるので拒否します!!
真時ぴえこ
恋愛
「ルーミア、そなたとの婚約は破棄する!出ていけっ今すぐにだ!」
皇太子アレン殿下はそうおっしゃられました。
ならよいでしょう、聖女を捨てるというなら「どうなっても」知りませんからね??
国外追放を受けた聖女の私、ルーミアはイケメンでちょっとツンデレな国王陛下に愛されちゃう・・・♡
前世の記憶を持つ守護聖女は婚約破棄されました。
さざれ石みだれ
恋愛
「カテリーナ。お前との婚約を破棄する!」
王子殿下に婚約破棄を突きつけられたのは、伯爵家次女、薄幸のカテリーナ。
前世で伝説の聖女であった彼女は、王都に対する闇の軍団の攻撃を防いでいた。
侵入しようとする悪霊は、聖女の力によって浄化されているのだ。
王国にとってなくてはならない存在のカテリーナであったが、とある理由で正体を明かすことができない。
政略的に決められた結婚にも納得し、静かに守護の祈りを捧げる日々を送っていたのだ。
ところが、王子殿下は婚約破棄したその場で巷で聖女と噂される女性、シャイナを侍らせ婚約を宣言する。
カテリーナは婚約者にふさわしくなく、本物の聖女であるシャイナが正に王家の正室として適格だと口にしたのだ。
義妹に婚約者を奪われて国外追放された聖女は、国を守護する神獣様に溺愛されて幸せになる
アトハ
恋愛
◆ 国外追放された聖女が、国を守護する神獣に溺愛されて幸せになるお話
※ 他の小説投稿サイトにも投稿しています
必要なくなったと婚約破棄された聖女は、召喚されて元婚約者たちに仕返ししました
珠宮さくら
ファンタジー
派遣聖女として、ぞんざいに扱われてきたネリネだが、新しい聖女が見つかったとして、婚約者だったスカリ王子から必要ないと追い出されて喜んで帰国しようとした。
だが、ネリネは別の世界に聖女として召喚されてしまう。そこでは今までのぞんざいさの真逆な対応をされて、心が荒んでいた彼女は感激して滅びさせまいと奮闘する。
亀裂の先が、あの国と繋がっていることがわかり、元婚約者たちとぞんざいに扱ってきた国に仕返しをしつつ、ネリネは聖女として力を振るって世界を救うことになる。
※全5話。予約投稿済。
婚約破棄でも構いませんが国が滅びますよ?
亜綺羅もも
恋愛
シルビア・マックイーナは神によって選ばれた聖女であった。
ソルディッチという国は、代々国王が聖女を娶ることによって存続を約束された国だ。
だがシェイク・ソルディッチはシルビアという婚約者を捨て、ヒメラルダという美女と結婚すると言い出した。
シルビアは別段気にするような素振りも見せず、シェイクの婚約破棄を受け入れる。
それはソルディッチの終わりの始まりであった。
それを知っているシルビアはソルディッチを離れ、アールモンドという国に流れ着く。
そこで出会った、アレン・アールモンドと恋に落ちる。
※完結保証
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる