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しおりを挟む「僕たちを売っている場所がある。そこには生まれて3ヶ月にも満たない僕たちが親から離され狭いスペースで生活しているんだ。」
「でも、ご飯はもらえるんだろ?」
人間たちに売られる血統書付きの子猫は、小さな透明のケースの中に入っているという。
そこから出られるのは、人間に買われた子猫だけ。
じゃあ、買われずに売れ残ってしまった子はどうなるのだろうか?
「ご飯はもらえるよ。子猫のうちだけは。」
「えっ?どういうこと?」
僕の言葉に不思議そうな顔をする猫たち。
「子猫のうちに売れなかったら、悲惨よ。わたし、聞いてしまったのよ。売れ残ってしまったら暗くて狭いところに押し込められるんだって。ご飯も一日に一食もらえればいい方なんだって。病気になっても放っておかれるし、病気の子がいるからすぐに移ってしまうんだって。そうして、狭く暗いところに閉じ込められて死ぬのを待ってるの。」
ももさんは誰から聞いたのか、詳しく知っていたようで、僕のかわりにみんなにわかりやすいように説明してくれた。
「そう。そう行ったところは少数かもしれないけど、あるんだ。僕たちは生きているのに、命としてではなく物として扱われる。」
すべての場所がそうとは限らないけれども。少なからずそういった場所はある。
「そんなっ!僕たちは生きているんだよ!」
「野良より過酷な命もあるのね・・・。」
「・・・おれは、野良猫に産まれてマシだったのか?」
みんなの顔色が悪い。
最初から人間の元で産まれた子猫には、幸せが待っているだけだと思っていたのだろう。
だからこそ、みんなの顔色が悪い。
物として産まれて売られていく猫たちは、みんながみんな幸せに過ごせるわけではない。
売れなければ悲惨な末路が待っているし、売れても・・・。
「でもね。売れても幸せとは限らないの。」
ああ、ももさんも知っているんだ。売られている子が売れても幸せになれないケースを。
少数だとは思うんだけどね。
「とても希なことだとはおもうけれども、そうやって買われた子たちの飼い主さんは、見栄を張っている人もいるわ。だから、少しでも気に入らないことがあるとご飯を抜かれたり、世話をしてくれなかったり、放棄されることがあるの。」
ももさんはみんなに向けて言った。
せっかく飼い主が見つかっても幸せとは限らないと。
でも、僕は希望をもってもらうために告げる。
「そういうのは一握りだよ。多くの猫たちは飼われれば幸せに暮らせるんだ。」
「それでも・・・。ぼくたちは物じゃないんだ・・・。」
誰かがポツリと言った言葉がその場に重く響いた。
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